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【特集】

ESG経営

企業の長期的な存続を評価するための指標「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」が、新たな投資判断基準として急速に広がっている。環境や社会への配慮、健全な管理体制の構築などによって、社会と自社の持続的成長を目指す企業の取り組みを紹介する。
2023.04.03

ESG経営に取り組む企業:花王|日鉄ソリューションズ|セブン銀行

持続可能な社会と自社の未来をガバナンス強化で実現:セブン銀行

 

 

日本全国に約2万6000台のATM(現金自動預け払い機)を設置し、年間総利用件数は9億1000万件を超えるセブン銀行。「お客さまの『あったらいいな』を超えて、日常の未来を生みだし続ける。」をパーパスに定め、中核事業のATMプラットフォーム戦略から金融サービスの枠組みを超えて、「『近くて便利』『信頼と安心』を実現するユニークな銀行」を目指す姿に掲げる。

 

同社は、創業時から社会・環境の価値追求と事業活動の両立を社是や企業理念に掲げてきた。2021年には、サステナビリティを長期的な経営戦略の根幹と位置付け、社会課題解決への貢献や持続的成長と企業価値向上による成長戦略を策定。2030年までの5つの重点課題(マテリアリティ)を定め、経営判断・行動基準の羅針盤としている。

 

ガバナンスの強化は、公共インフラであるATMネットワークを保有・運営する銀行の使命と、規律ある経営で果たすべき社会的信頼・責任を踏まえて、重要経営課題に選定。意思決定の透明性・公正性・迅速性の確保、取締役会や監査会による業務執行の役割と責任の明確化、適正な業務・コンプライアンス体制の整備・充実など、実効性あるコーポレートガバナンスの実現を目指している。

 

意思決定・監督機能を発揮する取締役会は、専門性の高い業務執行取締役と、豊富な経験や高い見識を持つ社外取締役による意思決定、監査役による適正な監査などにより、取締役会の独立性を強化し、多様性・専門性もバランスよく拡充した。また、「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定し、社外取締役は選任理由や業績連動型の公平・公正な報酬制度、監査役は社外監査役比率など、ガバナンス体制・状況を記載した「コーポレートガバナンスに関する報告書」を作成し、自社ホームページなどで公開している。

 

最重要経営課題として、コンプライアンスの徹底も推進している。BCP(事業継続計画)を作成し、事業継続を確実に行う「コンプライアンス・マニュアル」を制定。定期的な部署別の業務継続訓練、社員の意識・知識を高めるコンプライアンスチェック、個人情報管理の徹底などを実施している。

 

また、信用・市場・流動性・オペレーションなどの「リスク管理基本方針」、その下位規程である「統合的リスク管理規程」も制定し、経営会議では四半期ごとに全社的なリスク状況を確認している。

 

独立性・透明性のあるガバナンス方針、持続性のあるコンプライアンス体制、明確なリスク管理――。どれか1つが欠けても健全なESG経営が成り立たないことを、セブン銀行は体現している。

 

 

 

 

 

PROFILE

  • (株)セブン銀行
  • 所在地:東京都千代田区丸の内1-6-1
  • 設立:2001年
  • 代表者:代表取締役社長 松橋 正明

 

 

 

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