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【研究リポート】

イベント開催リポート

タナベコンサルティンググループ主催のウェビナーやフォーラムの開催リポートです。
研究リポート2022.08.23

ACADEMY FORUM2022(ゲスト:ライオン、ペイパー&パッケージ、パシフィックサプライ)

 

タナベ経営:「人」を中心とした経営が求められる時代

 

 

株式会社タナベ経営
HRコンサルティング東京本部
副本部長

盛田 恵介
2001年タナベ経営入社。セミナー責任者を経てコンサルティングに携わる。人材育成研究会リーダー。人づくりをデザインする総合プロデューサーとして、中堅・中小企業の人事・教育制度構築から運用に至るまでトータルでサポート。特に、さまざまな業種・業態の企業内大学(社内アカデミー)設立に実績を有し、多くの社員の成長を促すプログラム開発にクライアントから高い評価を受けている。

 

加速するVUCAの時代において、「企業は何で社会に貢献するのか」という貢献価値(パーパス)を意識しながら経営活動を行う「パーパス経営」や、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出す「人的資本経営」など、人を中心とした経営が求められている。

 

だが、時代の変化に合わせて学習プラットフォームの導入を進めるものの、うまく活用できていない企業が少なくない。主な課題は、①成果・効果の可視化、②認知度の向上、③未来を見据えたスキル習得、④モデル人材の輩出、この4つである。

 

新たな学びのプラットフォームの構築を進める企業は増えつつあるが、現代の環境に即した学習モデルが未確立な状態なのだ。ここを解決する突破口は、「従業員への価値提供を基軸とした自律的に学ぶ環境の構築」である。

 

 

 

 

自社の学習モデルを進化させるには、次の4つの「E」が求められる。

 

①Education(目的のある教育)
自社のミッション・ビジョン・戦略を実現するために必要な知識・スキルの習得

 

②Engagement(仕事との関連性)
魅力あるコンテンツ(内発的動機)と成長の可視化(外発的動機)をひも付ける

 

③Experience(体験を通じた理解)
インプットした学習内容を現場でアウトプット(体験)

 

④Emotion(感情による定着)
ゲーミフィケ―ション(ゲームデザインの要素をゲームとは別の分野で応用すること)による感情コントロールで「競争」を生む

 

先行きが不透明な経営環境こそ、ビジョン実現に向けた新たな学習モデルの確立が重要だ。

 

 

 

タナベ経営:「人的資本経営」の全体像と本日のまとめ

 

 

株式会社タナベ経営
執行役員

HRコンサルティング東京本部
川島 克也
経営全般からマーケティング戦略構築、企業の独自性を生かした人事戦略の構築など、幅広いコンサルティング分野で活躍中。企業の競争力向上に向けた戦略構築と、強みを生かす人事戦略の連携により、数多くの優良企業の成長を実現している。

 

「人的資本経営」とは、前述のように、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出す経営手法である。人的資本経営を進めるに当たり、時間軸を設けて推進することが重要だ。今行っている人材育成に関する投資の効果が数字として表れるまでには、一定の期間が必要だからである。また、ステークホルダーからの組織体制に関する開示要求の高まりもあり、人的資本経営の推進は現在の経営環境を生き抜く重要課題となっている。

 

だが、人的資本経営の重要性が高まる一方、人材への投資が思うように進まない企業は少なくない。主な原因として、①人材を「資本」ではなく「コスト」として捉えている、②従業員の価値観の多様化に対応できていない、③自社の経営戦略と人事戦略が一致していない、この3つが挙げられる。

 

特に、③の課題を抱える企業が多い印象である。経営戦略と人事戦略を「意識的につなぐ」のではなく、「一致させる」ことで自社の戦略実行力を高めることが重要だ。一致させるポイントとして、中期経営計画と併せて中長期の組織図を明確にすることをお勧めしたい。3~5年後の組織図を描き、各組織に求められる役割・条件を定義するのだ。

 

また、人材育成を企業の投資と捉える上で、人材関連の成果を測る指標である「人事KPI」(人的資本目標の見える化)が必要になる。人事KPIの代表的な指標は下図の6つだ。

 

 

 

 

これまでの企業事例で紹介された企業内アカデミーは、「人事KPIを実現する人材育成システム」と捉えることができる。また企業内アカデミーは、持続可能な競争力のある人材育成を主眼としながらも、①人材採用、②人材定着、③エンゲージメント向上などのシナジー効果も期待される。

 

①人材採用
「自分自身が成長できるか」「社会貢献できるか」といった価値観を持つ入社希望者が増える中、体系的に学習できる企業内アカデミーは採用ブランディングにつながる。

 

②人材定着
企業内アカデミーによる社員の能力開発により、短期間で自身の成長を感じることができ、定着率が向上する。

 

③エンゲージメント向上
体系化された学習で高品質なサービス・スキルを習得することにより、従業員は高い意欲を持って業務に取り組む。また、顧客満足度の向上にもつながる。

 

 

 

アカデミーフォーラム2022の中では、併せて「アカデミーアワード2022」を開催しています。アカデミーアワードは、HR(ヒューマンリソース)の領域において、先進的な取り組みによって人材育成をサステナブルな経営につなげている優秀企業に着目し、広く伝えることで、全国の企業の発展を目指す表彰制度です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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