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選ばれる会社へ、「決断」を。
【研究リポート】

物流経営研究会

”物流は世の中を支えている”にもかかわらず、他業種と比較して長時間労働、低賃金です。第7期は高収益ビジネスモデル、人財確保・デジタル化への取組を全6社と参加企業から学びます。
研究リポート2023.05.18

運送事業者の情報システム化の道:ドコマップジャパン

【第4回の趣旨】
物流業界は、業務が忙しいにもかかわらず営業利益率が2%未満の企業と、荷主と直接取引し、営業利益率5%以上を維持している企業の2つに二極化している。そのような中、当研究会ではステークホルダーから“選ばれ続ける”物流会社になるためのヒントを紹介している。
第4回はタナベコンサルティングのSDGsビジネスモデル研究会と合同開催し、ドライバーの時間外労働規制(2024年問題)に向けてサステナブルな物流の実現を支援するドコマップジャパンの代表取締役・浦嶋一裕氏に、同社開発のGPS車両位置動態管理システム「DoCoMAP」を軸とした運送会社の情報システム化について講演いただいた。
開催日時:2023年3月16日、17日(東京開催)

 

 

ドコマップジャパン
代表取締役 浦嶋 一裕 氏

 

 

はじめに

同社は、フジホールディングスとNTTドコモの共同出資で2017年に設立された、車両位置動態管理のプラットフォーマーだ。主力サービス「DoCoMAP」は、車両に取り付けたGPS端末からの位置情報を、GoogleMaps上にリアルタイムで表示・管理できる動態管理サービスで、2023年2月現在で450社以上が導入している。また、運行記録やアルコールチェック管理、配車システムも提供し、安全で効率的な物流を支援している。

 

 

DoCoMAPの特徴は、多様なデバイスのGPSデータを1つのプラットフォームで一元管理できる互換性の高さである。また、「配車担当者がいかにうまく使えるか」を大切にした使いやすいUI(ユーザーインタフェース)も好評を博している。

 

 

マルチデバイスに対応する車両位置動態管理のプラットフォーム

 


 

まなびのポイント:自社の課題から導入後の可能性を考える

 

浦嶋氏は、「自社の課題とサービスを照らし合わせ、解決の可能性を広げてもらいたい」と話す。運送会社A社では、運行状況について、配車担当者とドライバーが日々、荷主と電話連絡しており、対応時間を取られてしまうという課題があった。しかし、DoCoMAPを導入し、車両の位置情報が荷主に可視化されたことによって、通話時間が約90%削減された。

 

また、トヨタ自動車のサプライチェーンの一角を担い、トヨタ生産方式との緊密な連携が必要なB社は、通常、車両の位置情報を見る必要はないが、地震などの災害時に現在位置をすぐに確認できるため、BCP(事業継続計画)の1つとして活用しており、有事の際のDoCoMAPの効果を実感しているという。

 

 

 

自社車両の位置情報を自由に公開したり、逆に他社車両の位置情報を自社のDoCoMAP画面上に表示することも可能

 

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