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100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【研究リポート】

ナンバーワンブランド研究会

コロナ後の新しい時代に合わせた最新のブランディングを研究し、参加者の皆様が自社で実装するために、コンサルタントがアドバイス・サポートいたします。
研究リポート2024.03.19

100年間選ばれ続けるためのブランディング:ベルテクネ

【第3回の趣旨】
ナンバーワンブランド研究会第3回では、ベルテクネ株式会社・ATUホールディングスの2社をゲストとして招き、インナーブランディングに関する取り組みと未来の戦略について講演いただいた。
2023年3月期決算から上場企業などを対象に人的資本の情報開示が義務化されるなど、人的資本投資や社員のエンゲージメントが注目されている。
日本の就業者数は増加傾向にあり、就業した会社への定着率が高まる中、人材を無理やり引き留めるより、企業の魅力で人を集める、人が集まる会社にするのが、これからの人材確保において目指すべき姿だ。
そうした中、人が集まる企業に共通しているのが「社員のエンゲージメントの高さ」である。企業がどのように社員に関わるかという取り組み事例を2社に伺った。
開催日時:2024年2月7日(福岡開催)

 

100年間選ばれ続けるためのブランディング:ベルテクネ

ベルテクネ株式会社 代表取締役社長 前田 努 氏

 

はじめに

 

ベルテクネ株式会社は、精密板金加工、建築金物設計・製作・施工、水産養殖関連機械の製造等の事業を展開している。

 

主力製品の一つであるエアー投餌機は、国内トップシェアを誇るナンバーワンブランドとして確立している。同業他社製品を圧倒する高い品質と顧客ニーズに合った仕様で、価格競争に巻き込まれることはない。「高い技術力と品質、高付加価値の製品づくり」を中心とすることで、薄利多売の汎用品の製造に頼ることなく、設計から製造・メンテナンスまで、一貫した最高品質の製品とサービスで高い利益率を確保。

 

「Think Try」の経営方針を長年守り続けてきたことが高い信頼につながり、時には製造が追いつかずバックオーダーを抱えるほどの受注があり、安定して成長している企業である。

 

船上型攪拌造粒機(ベルテクネ株式会社ホームページ抜粋)
船上型攪拌造粒機(ベルテクネ株式会社ホームページ抜粋)


 

まなびのポイント1:社員主体経営

 

同社は、社員の幸せの追求と実現を目的として主体性を重視した経営を特徴にしており、経営目標や社内行事の内容、さらには給与や賞与までを社員が協議して決定している。社員に会社の経営情報を100%公開し、役員の給与公開や幹部の逆査定を実施することで、経営の透明化を進めている。

 

経営計画発表会では、会社の経営目標を全社員で話し合い、1年間の計画を立てて発表会を行っている。主要な取引先を招待して行うため、全社員が緊張感を持って取り組む一大行事となっている。経営陣へのアンケートでは、「信頼できる社長であるか?」などの項目を設けており、社員から経営陣への評価を行い、その結果を開示している。

 

経営計画発表会の様子(ベルテクネ株式会社ホームページ抜粋)
経営計画発表会の様子(ベルテクネ株式会社ホームページ抜粋)

 

 

まなびのポイント2:徹底した見える化による社内コミュニケーションの活性化

 

コミュニケーション活性化の取り組みとして、約10の小集団チームを結成し、活動を実施している。「ベルテクネでどのような働き方をしたいか?そのためには何をすればよいか?」といったテーマのディスカッションや、5Sの取り組みのビデオを見て、工場内の危ない場所を社員で共有するなど、さまざまなテーマで行われている。

 

毎月行われる勉強会では、同じ会社なのに他部署のことが分からないといったことがないよう、それぞれの部門が持ち回りで自部署の仕事を紹介したり、会社の経営状態が分かるように決算書の見方を説明することによって、情報共有と社員の人間力向上に努めている。

 

また、管理職向けの勉強会の実施や、資格支援の勉強会を行うことで、これまでと比較すると国家技能検定資格を持つ社員が増加している。

 

見える化された力量マップ。有資格者一覧表は工場内に掲示されている
見える化された力量マップ。有資格者一覧表は工場内に掲示されている

 

 

まなびのポイント3:社員の幸せの追求と実現

 

工場では、社員全員の「力量マップ」「有資格者一覧」が掲示されている。これにより、社員同士が得意・不得意を知ることができるだけでなく、自分のことを明確に評価してもらうことで、信頼関係にも繋がる。

 

また、朝礼では「ほめたつスピーチ」を行っている。皆の前で同僚や、他部署のメンバーに感謝の気持ちや良かったところなどを伝えることで、前向きな雰囲気が形成されるようになっている。このような社員主体の社員の幸せを追求した経営により、社員のエンゲージメント向上に直結している。

 

驚くべきは、これらの全ての取り組みが会社側の指示したことではなく、社員が主体的に発信した改善案であること。トライしてみる、チャレンジしてみるという風土が醸成されている。

 

自社の技術は社内のさまざまな場所に展開されている
自社の技術は社内のさまざまな場所に展開されている

 

 

 

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