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【研究リポート】

ナンバーワンブランド研究会

コロナ後の新しい時代に合わせた最新のブランディングを研究し、参加者の皆様が自社で実装するために、コンサルタントがアドバイス・サポートいたします。
研究リポート2023.03.20

紙の可能性を追求して~百年企業の歩み~:阿波製紙株式会社

【第2回の趣旨】
リアルとデジタルの融合により、商品やサービス、人材・採用、そして企業価値ですら再定義が必要な時代が到来している。物理的価値や金銭的価値だけではステークホルダーから選ばれない時代でもあり、本質的欲求をもとにした体験価値のデザインが求められているのだ。
当研究会では、コロナ禍で変わった価値観に対して、自社価値の再定義に取り組む企業を紹介。第2回では、特別ゲスト2社が実施しているインナー・アウターブランディングの中でも、課題解決に向けた取り組みと未来戦略についてご講演いただいた。
開催日時:2022年12月7日(四国開催)

 

阿波製紙株式会社
代表取締役社長 三木 康弘 氏

 

はじめに

阿波製紙は、1916年に徳島県内初の機械すき和紙メーカーとして設立。楮・三椏といった和紙原料から始まり、今も継続して多種多様な原材料を調査研究し、高付加価値・高品質化を追求。特殊紙から機能材へと、紙の概念を超えた幅広い製品群を生み出している。

 

「素材を生かした機能材・機能製品の共同開発メーカー」、また、「環境に配慮したグローバルカンパニー」として紙の可能性を追求している。

 


 

まなびのポイント 1:紙の領域を超えた価値創造・価値提供

 

創業当初、同社は主に和紙の製造を行っていた。しかし、1956年に和紙製造から特殊紙製造へと市場を転換。現在では、和紙や消費者が日常で目にする一般的な紙ではなく、自動車などのエンジン濾材(ろざい)、熱放出性の高い熱拡散シート、900℃でも保形性を保つ断熱材など、エネルギー、住宅・生活、電気・電子、自動車、水処理・環境といった幅広い分野に製品を展開している。

 

展開の背景として、「KAMIにできないことはない」と、紙の可能性を追求し続けたことが挙げられる。共同研究も積極的に受け入れており、同社が持つ紙の加工技術を他分野へ展開している。

 

まなびのポイント 2:コーポレート・ロゴの再構築

 

同社は創業100周年である2016年に、コーポレート・ロゴをリデザイン。未来と世界につながっていく自社の姿をイメージし、経験・知識・発送を礎に波頭(頂上)を目指す強い意志を表すとともに、「紙から脱却する事業領域の拡大」を意図するロゴに変更した。

 

また、社名の英語表記は「AWA PAPER&TECHNOLOGICAL COMPANY,Inc.」と、「TECHNOLODICAL」という単語を加えた。「技術力が強みの会社」であることを表現している。

 

まなびのポイント 3:ミッション × SDGs

 

同社は、経営理念のうち「私たちの使命」として次のミッションを掲げている。

 

「私たちは、紙の可能性を追求し、多様な機能材との新結合を図ると同時に、環境との調和を目指した商品・サービスの提供を通じて、人類・社会に貢献します。」
紙をベースに、環境への配慮や人類と社会への貢献をミッションに掲げ、SDGs17のゴール全てを対象に、それぞれへの取り組み方針を設定している。同社の環境への取り組みは、SDGsが国連サミットで採択された2015年9月よりも前のことである。

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