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【研究リポート】

ライフスタイルビジネス研究会

変容する社会課題や顧客課題を的確に掴み、ドメインとバリューチェーンの拡大を切り口にした新たな「ライフスタイル価値」を創造するための真髄に迫ります。
研究リポート2023.11.10

未来の住宅建築を実現する新ビジネスモデル:セレンディクス株式会社

【第5回の趣旨】
ライフスタイルビジネス研究会(第3期)は「CX(顧客体験価値)」を追求し、真のライフスタイルカンパニーへ進化しよう」をコンセプトとして掲げている。第5回は、「①地域に根差し、顧客の課題を解決するドメインの多角化」「②社会課題解決×ビジョンによる顧客体験価値の創造」「③コアバリューを主軸としたバリューチェーン×ドメイン拡大」の3つをテーマとし、それらを実践している2社をゲスト講師として招き、ご講話いただいた。
開催日時:2023年7月14日(福岡開催)

 

 

セレンディクス株式会社 COO 飯田 国大氏

 

セレンディクス株式会社
COO 飯田 国大 氏

 

 

 

はじめに

 

「世界最先端の住宅(NEXT HOUSE)の実現」を掲げるセレンディクスは、2018年に設立し、3Dプリンターを使用した施工による住宅を日本で初めて実現した住宅メーカーである。「車を買い替えるように家を買い替える」という斬新な発想で、「100㎡ 300万円」の住宅販売を目指している。2023年5月26日には、長野県佐久市において、「24時間(1日8時間×3日)以内に家をつくる」という目標のもと初めて商用物件を手掛け、22時間52分で完成させた。

 

同社は「世界最先端の住宅」の実現のためにオープンイノベーションで開発を進めておりコンソーシアム企業は200社を超えている。大阪・関西万博2025「TEAM EXPO 2025」共創チャレンジへの登録をするなど、今後の動向にも注目が集まる企業である。

 


 

まなびのポイント 1:世界最先端の住宅の実現

 

海外では3Dプリンターによる住宅開発が進んでいるが、既存住宅の延長線上での開発であり、コストや施工時間の削減にまで至っていない。しかし、同社は「3Dプリンターに最適な住宅開発」という逆張りの発想により、 「Sphere(スフィア:球体)の家をつくる」という新しいビジネスモデルを創造した。

 

また、「住宅販売というコアバリュー×世界最先端の家」を実現するため、最先端のIoT・AI技術を取り入れることで、ドメイン(事業領域)の拡大を目指している。例えば、センシング機器で在宅中の人の体のデータを蓄積する。そのデータを医療系のコンソーシアム企業が解析することで、予防医療につなげていくという協業モデルである。

球体を意味する「Sphere(スフィア)」
球体を意味する「Sphere(スフィア)」。コンクリートで造る3Dプリンターに最適な形の設計により、24時間以内での施工を実現した © Clouds Architecture Office

 

 

まなびのポイント 2:スタートアップの存在価値は「課題解決」

 

社会に対する「課題」=「怒り」が大きいほど大きなマーケットになるという思いから、セレンディクスは6つの社会課題の解決に取り組んでいる。例えば「30年前より消費税が7%上昇し、社会保険料が2倍以上と負担増が強いられ、平均収入が減っている状況下で、30年の住宅ローンを本当に続けられるのか」という課題に対し、セレンディクスは「100㎡300万円という低価格での住宅建築」という解決策を提案している。可能な限り人の手を使わずに施工までできる設計技術により、高騰する資材と人件費の削減を実現した。

 

また、世界の住宅価格が10年間で2倍以上に高騰しているという社会課題に対しても、3Dプリンターが現地にあれば、デジタルデータを送るだけで世界中どこにでも住宅を建設できるという水平分業モデルで解決を目指している。

3Dプリンターを使用し、14時間で躯体が完成
3Dプリンターを使用し、14時間で躯体が完成

 

 

 

まなびのポイント 3:社会の変化に合わせたライフスタイル変革

 

セレンディクスは「住宅ローン0円」をファーストミッションとして掲げている。今の生活で住宅ローンが0円になったら何をするのか。本当にやりたいこと、やりたかった夢、家族との関わり方、「自由」を手に入れることが何を意味するのだろうか。

 

同社は、都心の10分の1以下の地価である福岡市から、さらに自動車で90分の郊外(大分県日田市)に「Sphere研究所」を保有している。飯田氏は、この研究所の近くへ移住することで 「挑戦する自由」を手に入れたという。

 

こうしたデュアルライフ(平日は都会、休日は田舎)が普及する可能性もあるように、年齢や家族構成・仕事に合わせて自由に家を買い替えることができる世界の実現を目指し、飯田氏は自らのライフスタイルを発信している。

 

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