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【メソッド】

梶原しげるのビジネスに効く!会話のヒント

文化放送のアナウンサーを経てフリーに転身。テレビやラジオ番組の司会として幅広く活躍してきた梶原氏が、ビジネスシーンに役立つ会話のヒントをお届けします。
メソッド2017.10.20

vol.26 若者が電話に出ないのには理由があった

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2017年11月号

買い物シーンで

「コミュニケーションとは文字、もしくは映像を交換すること」と考える人の増大とともに、衣料も、家電も、食品も、書籍も、家具でさえも、ネット通販が売り上げをグイグイ伸ばしています。シャツ1 枚購入するのでも「お客さま、どんなタイプをお好みですか?」などと笑顔で、しかも「生声」で言われただけで、買い物そもものが「上の空になってしまう」と言う若者がいます。

だからでしょうか。若者に人気の某セレクトショップが店内に「声かけ不要バッグ」を用意して、それを持って買い物する客には一切「生声コミュニケーションを断ち切るサービス」を試験的に行っているとメディアで大きく取り上げられましたね。

その後の調査では、この「声かけ不要バッグ採用」に8割の人が「賛成」と言っているようです。

こうした「接客時に声掛けしない試み」は、実は相当前から行われていました。スーパーのレジのところに「レジ袋不要・意思表示カード」が置かれているのに気が付いたのは何年前ですか?

地球温暖化など環境問題に関心を持つ人の中には、レジ袋をなるべく控え、自前の買い物袋を持参する人がいます。素晴らしい心掛けだと思いますが、こういう人も、かつてはレジでいちいち「レジ袋は環境に悪いので結構です」などと口頭で宣言しなくてはなりませんでした。

一昔前は、そういう「知的な人の申し出」に「え? どうしてですか?」とおっちょこちょいなことを聞く、新米店員さんがいたものです。そんな煩雑な口頭コミュニケーションの全てを解消したのが「レジ袋不要・意思表示カード」でした。

この頃から、コミュニケーションの主役の座は、徐々に「生声」から「文字」へと移行していたのかもしれません。

さあ、コミュニケーションの主役が「口頭表現」から「テキスト表現」へと移行し始めている、こんな時代だからこそ「口頭表現」を見直したいと思います。

これについては、機会をあらためてお話しすることといたします。


筆者プロフィール
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梶原 しげる (かじわら  しげる)

早稲田大学卒業後、文化放送に入社。20年のアナウンサー経験を経て、1992年からフリーとしてテレビ・ラジオ番組の司会を中心に活躍。49歳で東京成徳大学大学院心理学研究科に進学、心理学修士号取得。東京成徳大学経営学部講師(口頭表現トレーニング)、日本語検定審議委員も務める。

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梶原しげる著/新潮新書
821円(定価)

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