TCG REVIEW logo

100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【研究リポート】

ホールディングス・グループ経営モデル研究会

6つのホールディング経営タイプをベースに、新たなグループ企業を研究します。自社がどのようなホールディングスモデルとして進化するのか、共に考えましょう。
研究リポート2023.03.01

挑戦と変化で成長するCCGのホールディングス経営:株式会社 CCG HOLDINGS

【第3回の趣旨】
ホールディング経営に取り組む企業は増加しており、目的や経緯に応じてホールディングモデルそのものが多様化する傾向にある。本研究会では、ホールディング経営を6つのタイプにモデル化し、それを基に新たなグループ企業研究を付加することで深掘りしていく。第3回は経営のプラットフォームを研究。CCG HOLDINGSの代表取締役社長である北田浩之氏を迎え、ご講演いただいた。
開催日時:2023年1月31日(東京開催)

 

 

CCG HOLDINGS
代表取締役社長 北田 浩之 氏

 

はじめに

 

CCG HOLDINGSは、北田社長が1990年に設立。印刷業を祖業とし順調に事業を拡大していた最中に経験した90年代後半の金融危機により、販促支援へ事業を拡大。その後も時代の変化や外部環境の変化に対応しながら拡業により業態変え、現在はプロモーションサービス業を展開している。

 

困難な時に次代のための種をまき、戦略と組織を変革する。経営指針である「Challenge Change Glowing」は、社名の由来ともなっており、まさに当グループ成長の軌跡である。

 

今回は、なぜホールディングス体制を選択したのか、その目的・考え方と背景を北田氏にご講演いただき、事業戦略と組織戦略の連動で、事業永続の方程式構築を実践する事例をひも解いていく。

 


 

まなびのポイント 1:”拡業戦略”を実現するためのホールディングス

 

同グループのホールディングス体制構築の目的は、「事業の多様性」と「経営人材育成」による企業の安定性と持続的成長の実現。事業を財産として承継する時代は終わり、VUCAの時代にあっては事業をリソースとして承継し変革することが必要である。「ホールディングス経営に適するのは、新しい事業を創る・経営者人材を多く創るという思いを持った会社である」と北田氏は話す。同グループの事業戦略は既存事業+α(新規事業)の”拡業戦略”。この事業戦略に連動する組織戦略としてホールディングス体制を構築したのである。既存事業と新規事業の両利きの経営、分社化による権限移譲の実践で、自律(自立)・自走できる会社を実現している。

 


拡業戦略をかなえる事業と人材の在り方

 

 

まなびのポイント 2:HDカンバニーと事業会社をつなぐ”ビジネスドメイン”

 

同グループのホールディングス体制は、純粋持株会社であるCCG HOLDINGSと各事業会社の間に「ドメイン」(法人格なし)を設けていることが特徴である。HDカンパニーは、10年スパンの中長期視点で経営指針を示し、事業ポートフォリオをマネジメントする。複数の事業会社を束ねるビジネスドメインには、執行役員をドメイン長として充て、バリューチェーン開発、新事業・新商品開発によりマーケットとのベストマッチングの実現を目指す。その過程において成長支援と事業撤退の判断はHDカンパニーの大きな役割となる。各事業会社は、グループの方向性を3カ年の中期経営計画で具体化。既存事業の深化と進化、組織開発(エンゲージメント向上)を担う。

 


CCG HOLDINGSの特徴的な組織形態

 

 

まなびのポイント 3:経営人材の抜擢と育成

 

経営人材は、「場づくり(抜擢)」と「場の提供(育成)」でつくる。事業分割、M&A、新規事業や新エリア開拓で、小さく始めて大きく育てる「抜擢」の場を用意。場の提供を通じた育成は、経験・内省・持論化・実践の経験学習モデルで捉える。経営ビジョンづくりによる当事者意識、事業・領域別の役割・責任の明確化、孤立無援ではなく切磋琢磨して自分で育つ環境をつくるのである。HDトップの役割は、手を放して目を離さない姿勢で、内省・持論化のフェーズにおいて正しい質問(「なぜ」「これからどうする」)を行い深く関わること。ここで手を抜くと育たない上にグループの遠心力が強くなるという。事業を社長に任せることで社員からの見られ方が変わり、覚悟と自覚が芽生えるのである。

 


経営人材をつくる2つの要素

 

 

ホールディングス・グループ経営モデル研究会一覧へ研究リポート一覧へ

関連記事Related article

TCG REVIEW logo