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【研究リポート】

人材育成研究会

EVP(従業員に対する価値提案)を高め、社員のエンゲージメントを向上させ、自律的に成長する・会社に貢献する人材を生み出していくためのヒントを優秀企業から学びます
研究リポート2023.09.12

世界5大長寿地域「ブルーゾーン」の沖縄県から学ぶアフターコロナにおける健康経営の在り方:国立大学法人琉球大学

【第4回の趣旨】
当研究会では、最先端の教育制度や人材育成の仕組みを持つさまざまな企業の視察を通じて、人材の育成・活躍・定着を成功させるヒントを提供している。
今回はゲスト講師から、理念・ビジョンの浸透やそれらを行動発揮につなげるための仕組みとポイント、沖縄県という土地におけるエンゲージメント向上策について伺った。

開催日時:2023年5月19日(沖縄開催)

 

 

国立大学法人琉球大学
国際地域創造学部 観光科学研究科 教授  荒川 雅志 氏

 

 

はじめに

 

1950年創設の国立大学法人琉球大学は、沖縄県の学術文化の中心として地域の発展に寄与する学術研究を推進し、地域社会を牽引する多くの人材を育成・排出してきた。

 

沖縄県は、多様な自然環境・固有文化を持つだけではなく、世界5大長寿地域「ブルーゾーン」に指定されるなど、健康長寿の地域という側面も持つ。ウェルネス(健康を基盤に自己実現をすること)の在り方を体現している地でもあるのだ。

 

今回は、ヘルスツーリズム・ウェルネスツーリズム研究の第一人者である国立大学法人琉球大学の国際地域創造学部・観光科学研究科・教授の荒川雅志氏に、「アフターコロナにおける健康経営」についてご講話いただいた。

 


 

まなびのポイント 1:アフターコロナに求められる「ウェルネス健康経営」

 

安心・安全が脅かされ、新しい生活様式への変化を余儀なくされた新型コロナウイルスの感染拡大を経て、人々が求めるものは変化しつつある。これからは、「新しい生き方・働き方」や「ヘルス」が求められる。その上で、ウェルネスという考え方が注目を集めている。

 

ウェルネスな生き方を体現するためには、内側・外側からのアプローチが必要だ。体内環境の整備・保全などの内面の改善から始めてこそ、個の健康を起点に持続可能な地域社会の養成が可能となる。市場規模の拡大を続けるウェルネス産業において、長寿地域である沖縄県が、豊かな環境資源・文化を生かし業界を先導していく。


新しいウェルネスの考え方

 

まなびのポイント 2:「つながり力」の必要性

 

コロナ渦や東日本大震災を経て、人間の「つながり力」の必要性を痛感した人は多い。そのつながり力の再構築こそが、アフターコロナを生き抜く上での重要なキーワードになる。

 

「つながり」は、人・自然・地域それぞれの関係性を示している。つながり力において、沖縄県は次の3つの高いポテンシャルを持つ。

 

⑴人:祖霊信仰が根付き、祖先とのつながりがある

⑵地域:「いちゃりばちょーくでー(一度出会えばみんな兄妹)の精神」を持つ

⑶自然:自然に恵まれている

 

このような「ウェルネス資源」「つながり資源」の強みを生かし、沖縄県ではワーケーション・宿泊型ウェルネス健康経営などの取り組みが始まっている。


人・自然・地域の関係性

 

 

まなびのポイント 3:沖縄県の取り組みを企業経営に取り入れる

 

企業経営において、沖縄県の取り組みを生かすことが重要である。重点項目は次の3つだ。

 

⑴安心安全・健康=職場環境・福利厚生の整備

⑵目的意識=キャリアステップ・ビジョンの作成

⑶つながり=従業員とのコミュニケーション醸成

 

今後は、より一層アフターコロナにおける生き方・働き方を踏まえた企業としての取り組みが重要視される。ブルーゾーンである沖縄県の取り組みを企業に取り入れることで、人的資本・ウェルネス健康経営を実現していただきたい。

 


荒川氏が監修した生体リズム調整プログラム「朝ヨガ」

 

 

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