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【研究リポート】

建設ソリューション成長戦略研究会

人件費・資材の高騰、地方の衰退など、外部環境の変化に合わせて提供価値を進化させている企業を研究し、建設業界の発展に寄与する機会を作っています。
研究リポート2023.05.17

点群データを活用した3次元モデルリングの可能性~デジタルツインを通じて生産性向上を目指す~:DataLabs株式会社

【第2回の趣旨】
建設ソリューション成⾧戦略研究会では、秀逸なビジネスモデル・経営ノウハウを持つさまざまな企業の現場を「体感」する機会を創出し、経営改革・業務革新のヒントを提供する。第2回は、建設業における「情報化」
「生産性向上」について、先駆的な取り組みをしている演算工房、DataLabsの2社に講演いただいた。
開催日時:2022年12月20日、21日(京都開催)

DataLabs株式会社
代表取締役  田尻 大介 氏

 

はじめに

2020年創業のDataLabsは、東京都中央区日本橋に本社を置くベンチャー企業である。2024問題、高齢化・人手不足、老朽インフラ、災害対応等、建設業が抱えるさまざまな問題に対し、“3次元データで建設業を変革する”というミッションのもと、クラウドベースの点群データの自動3Dモデル化(BIM/CIM化)技術を織り交ぜた業務特化型ソリューションを提供する。


 

まなびのポイント 1:義務化・必須化される三次元データ活用

 

国の建設業において令和5年度以降の三次元データの利活用が原則化される。国土交通省では、「i-Constructionにおけるトップランナー施策である『ICTの全面的な活用』をBIM/CIMを用いて推進するために、関係団体が一体となりBIM/CIMの推進および普及に関する目標や方針について検討を行い、具体的な方策について意思決定を行うことで、BIM/CIMの施策を進めていくこと」を目的とし、平成30年9月からBIM/CIM推進委員会を開催している。

 

国のルールもさることながら、2029年には道路、橋の50%以上が、築50年を迎える、その影響もあり、2025年度には建設需要に対して供給側の人員が100万人不足するとみられている。もはや環境変化についていくためには業務の効率化は必須であり、それを可能にする、現場を3次元で捉えて管理していく技術を利用することは必須であると言える。


三次元空間の情報とシミュレーションを掛け合わせることで、各種課題の解決を目指す

まなびのポイント 2:点群データ処理の技術で業務の効率化を促進する

 

DataLabsの点群データ処理技術を活用すると、点群をアップロードすると、対象を数クリックするだけで3DCADモデルが完成する。

 

従来の手作業での実測では、多くの人手(現場2名、施工者2名の計4名)とヒューマンエラーが発生する。この技術を活用することによって1人で作業できるため、ヒューマンエラーが発生しない。

 

また、帳票も作成できるので、時間・コストを8割も削減することができる。さらに、作成したモデルを維持管理・増設工事でも活用できるため、導入した成果を長期にわたり享受することができる。

まなびのポイント 3:三次元モデル・点群データを関係者間でリアルタイムに共有可能

 

DataLabs商品開発の特徴として、使い勝手の良さ、導入のしやすさが挙げられる。本来、システムの導入になると大きな投資判断が必要となる。しかし、同社の「Modely(配筋検査)」は月8万円から導入が可能である。現場ですでに導入している企業も多いiPadを活用することができる。

 

点群データのデメリットとして、データが重くなってしまうという点がある。データが重いと関係者間での共有が難しくなるが、その点も対策ができており、URLで共有することが出来る。そのことにより、工事発注者は何らソフトウェアなどのインストールをせずとも、リンクを開くだけでModelyから各種データや帳票を確認することができる。迅速かつ容易に情報共有ができ、遠隔地からでも配筋検査を完結することが可能となる。


「Modely(配筋検査)」は、測量機器を使わずともiPadでスキャンするだけで点群データが取れる

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