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コラム
タナベ語録
タナベコンサルティンググループの経営コンサルティングの基盤となっている考え方を、各テーマに沿って紹介します。
コラム 2022.07.04

Vol.17 プロ役員としての組織・人づくり

プロ役員としての組織・人づくり タナベコンサルティング
 

組織変革の進め方

  vol.15で述べたように、組織変革や良い社風づくりは、プロ役員の仕事です。ここでは組織変革の進め方について解説していきます。   組織変革を行うには、プロジェクトによる推進が効果的です。 組織の課題抽出や改善策の立案においては、各部門の利害(既得権)が働くことに加え、もともと人は変化を嫌う傾向があるため、役員と人事部門だけでは調整に難航し対策が行き詰まるか、声の大きい役員の意向が強く反映されてしまう可能性が高いものです。   部門間の利害を考慮せずに改革案を立案するためには、異なる部門から集めたプロジェクトメンバーに、外部の専門家などを加えたプロジェクトチームを結成することも1つの方法です。   プロジェクトの役割は、現状の組織を分析し、戦略推進に適した新組織の形を考案することです。現組織の問題点を改善する新組織とするため、全社から情報を収集できる権限を、プロジェクトに与える必要があります。   組織変革は次の手順で進めます。いくつかのステップを踏み、6カ月から1年をかけての移行となります。移行後には再び課題の整理と調整を行います。   組織変革のステップ
 

チームビルディングの技術

  ファーストコールカンパニーは「顧客価値を追求するチーム」を持たなければなりません。その上で「自由闊達に顧客価値を追求するチームをいかに築くか」、その技術が求められます。これが「チームビルディング」です。   チームビルディングで重要なことは、年齢や役職に関係なく、生かしたい優秀な人材を思い浮かべ、評価し、彼らを中核としたチームをつくることです。   「組織内にいる優秀そうな人材」「自社で最高の人材」という観点でチームを編成してから、実施事項を決めてもよいでしょう。現有戦力で最高のパフォーマンスを発揮できるチームビルディングを優先するのです。戦略は「何をやるのか」と同じくらいに「誰がやるのか」が大切です。   中堅・中小企業組織の弱点の1つに、取締役会や経営企画室といった戦略・経営機能が不十分であることが挙げられます。組織のチームビルディングを「経営諮問機関」と位置付け、ビジョンや新規事業の推進・実現、経営課題を解決できるチームへと育てる継続力が必要となります。    

「多様性」で組織を斜めに切る

  チームビルディングは次の条件に従って行われるべきです。   1.できる人、やりたい人を優先して集める 2.何をやるのか以上に、「誰をリーダーにするか」を中心に資源配分する 3.多様性を重視し、異なる経験や立場の人を集める 4.階層や部門のバラつきを意図(意識)した3 名以上でチームを編成する 5.顧客価値に対する提供価値(ブランド)の原則を決めると同時に、チームがやらないこと(トレードオフ)も決めておく   MBA(経営学修士)の取得を目指すビジネススクールの価値は、入社1年目の社会人や社長経験者が一緒に学び、研究する多様性にあります。戦略やマネジメントを学ぶタイミングは、年齢や経験ではなく、その人のセンスや思いで決まります。この多様性の創造をタナベ経営は「組織を斜めに切るチームビルディング」と呼んでいます。   以上を踏まえ、自社の組織をもう一度眺め、チーム編成の概念を見直してみてはいかがでしょうか。  

一人一人が活躍できる場をプロデュース

ここからは、プロ役員としての人づくりについて解説していきます。   中堅・中小企業における人材採用環境について、ますます厳しくなることが予想される中、若手社員を抜てきしつつ、全社員の「活躍の場」を創出する必要があります。   そのためには、従来型の機能別やエリア別組織ではなく、ネットワーク的・プロジェクト的に動ける柔軟な組織体制が求められます。組織に「配置する」のではなく、一人一人が活躍できる場をどうプロデュースするかが重要です。   顧客価値向上のための継続的なチーム活動は、顧客の価値観や嗜好に合わせてプロジェクトメンバーを編成し、プロジェクトそのものを柔軟に改廃することが必要になります。リーダーも固定制ではなく、変化に応じて組み替える必要です。それは同時に、数多くの社員をリーダーとして抜てきできる機会が増えることを意味します。一人一人の職務や特性を明確にしておけば、必要とされる専門性とマッチングしやすくなります。   また、特定の問題の調査や計画の推進など、継続性はないものの重要な施策を行う場合、期間限定で「ワーキングチーム(委員会)」を設けるケースも多くあります。これは、リーダー人材や若手人材を育てる上で最適な取り組みの一つです。   チーム活動の中で、チームリーダーはリーダーとしての経験を積み、参加メンバーも意見や考え方を発言できる機会が得られ、経営への参画意識も高まります。会社側も、チームメンバーの特性や新たな強みなどを発見する良い機会となります。  

タレントマネジメント・ダイバーシティーの推進

  「組織は戦略に従う」という言葉の通り、戦略と組織は一体です。しかし、そもそも人材が不足していれば、戦略に沿った組織を組むことはできません。また、人材の量だけでなく、質の課題もあります。従業員の能力向上、自主性、目標への努力が戦略推進力を高めます。人材の質と量を充足させることがビジョン実現の近道です。   現有人材の能力開発力と、自社が求める人材の採用力強化の手段として、「タレントマネジメント」の導入があります。   「タレント」とは、「能力やスキル」のこと。この能力やスキルを管理し、企業活動に最大限活用していく取り組みがタレントマネジメントの概念であり、その活動こそがまさに「チーム力」の向上につながるのです。   タレントマネジメントは、人事管理システムの枠を超え、個人の持つ能力やスキルを把握し、データとして登録。自社が求める人材の採用、全社員が活躍できる場づくりに向けた適材適所の配置、チームおよび個人のモチベーションの向上、リーダー育成など、さまざまな人材開発の課題解決ツールとして活用することがポイントとなります。   タレントマネジメント導入のポイントは、①能力・スキルの設定と把握、②タレント情報を生かした適正配置・全社員活躍の場づくり、③モチベーションの維持・向上と離職防止、④次世代経営幹部人材の発掘、の4つです。   タレントマネジメント導入のイメージ   さらに、多様な人材が活躍できるダイバーシティーを推進することも重要です。 ダイバーシティーは、人材の多様性だけでなく、「働き方の多様性」という視点から取り組む必要があります。最近では、雇用形態の枠を超えて外部の優秀な人材の空き時間を活用するシェアリング型雇用形態など、さまざまな取り組みが生まれています。   100人いれば100 通りの働き方があると認識し、多様な人材が活躍できる環境整備を進めていくことが必要です。     ※本文・図はタナベコンサルティング主催「プロ役員セミナー」のテキストを抜粋して制作しています。     プロ役員セミナー     経営者・人事部門のためのHR情報サイト