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マーケット・スタッツ

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2017.11.30

特集1:建設×ソリューション

2017年12月号

 

 

研究開発で建設業の付加価値を高めるオープンイノベーションに期待大

 

全産業や製造業全体から見ると、建設業の研究開発費は極端に少ない。日本建設業連合会(日建連)の「建設業ハンドブック2017」によると、売上高研究費比率は製造業4.3%、全産業3.5%に対し、建設業はわずか0.4%にとどまる。

 

だが、他産業に比べると少ないものの、独自の研究所や設計・技術研究開発部門を有する大手ゼネコンは多く、中には年間約100億円の研究費を投じる企業もある。

 

一方、欧米の場合、建設分野の研究開発は主に大学や公共機関が実施し、企業はほとんど行っていない。このため、世界的に見ると日本の建設企業の研究開発意欲は際立って高く、日本の建設技術を世界トップレベルに押し上げる原動力になっている。

 

実際、日建連が実施したアンケート調査結果では、回答企業(52社)のうち83%(43社)が「社内で研究開発を実施している」と回答。研究開発を実施する企業(外部委託を含む)のうち、研究開発専門部署を有する企業は9割を占めた。

 

注力している研究開発テーマを見ると、「品質・生産性向上」(47%)が最も多く、「安心・安全」(26%)、「地球環境」(20%)、「快適・健康」(6%)などが続く(【図表1】)。品質・生産性向上の具体的内容は、「コンクリート」「施工管理(IT化施工等)」「ロボット・自動化施工」だった。

 

また、研究開発の手法として、オープンイノベーションに取り組む企業が増加している。同報告書によると、研究開発を実施する企業のうち、73%(32社)が「(オープンイノベーションを)意識して積極的に取り組んでいる」と回答。「意識してはいるがまだ取り組んでいない」企業を合わせると、ほとんどの企業が意識していた。(【図表2】)

 

この背景には、大学や異業種企業と連携して、自社にない専門的ノウハウ・知見を共有したり、研究開発のスピードアップにつなげたいという狙いがある。

 

ニーズを捉えた研究開発は重要な経営戦略の1つ。建設需要が一段落する東京五輪後を考えると、時流に合う研究開発を進め、自社の強みを磨くことが欠かせない。

 

 

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