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モデル企業
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【企業事例】優れた経営戦略を実践する企業の成功ストーリーを紹介します。
モデル企業 2025.03.03

成長戦略の重要な柱である女性がイキイキと輝く職場づくり レンゴー

女性の活躍推進が企業価値向上の鍵

あらゆる産業の全ての包装ニーズをイノベーションする「ゼネラル・パッケージング・インダストリー」として事業を展開するレンゴーは、板紙・段ボールを中心とする包装資材を製造・販売するリーディングカンパニーである。1909年に日本で初めて段ボール事業を立ち上げて以来、優れたパッケージングを提供することで商品の価値を高め、社会に貢献し続けてきた。

同社は2014年にトップメッセージを発信し、人材が個々の能力を最大限に発揮できる職場づくりを目指すとともに、女性活躍を成長戦略の重要な柱の1つと位置付け、人事部に「女性活躍推進室(現D&I推進室)」を新設。女性活躍の支援体制強化をはじめ、性別や年齢を問わず多様な人材が能力を発揮できる企業風土づくりや環境整備に取り組んでいる。

さらに、2016年には「女性の活躍推進に関する行動計画」を策定し、「女性の活躍に関する情報」を公表。2016~2020年度の行動計画目標は全て達成し、2021~2026年度の5カ年行動計画には、取り組みをもう一段加速させるために目標を設定した。(【図表】)

 

 

【図表】「女性の活躍推進に関する行動計画」で掲げる目標


出所 : レンゴーホームページを基にタナベコンサルティング戦略総合研究所作成

 

 

主な施策として掲げているのは、「女性の雇用・職域拡大」「女性の管理職登用」「女性のキャリア形成支援」である。まず、多様な人材が活躍できる会社を目指し、女性採用を積極的に進めるとともに、特に女性が少ない職場である営業外勤や製造現場への積極的な配置・登用を進めるなど、女性が活躍できるフィールドを拡大している。

女性の管理職登用については、2025年度には女性管理職を1.5倍以上に増やすことを目標に掲げて全社を挙げた取り組みを進めている。女性のキャリア形成支援については、5年後、10年後のキャリアプランを持って主体的に仕事にチャレンジできるよう、女性を対象とした研修を実施している。

「女性が能力を最大限に発揮し、さらに活躍するためには、日々の指導や育成、フォローを行う上司の役割が重要」という考えのもと、上司を対象とした研修を行うなど全社に向けた女性活躍推進の理解と教育・キャリア形成支援を強化している。

同社はこれらの施策を加速させるべく、交流会の実施やネットワーク構築にも積極的に取り組む。例えば、営業外勤・製造現場で働く女性が集まる交流会を開き、職種ならではの工夫や悩みを共有して、自身の働き方や課題解決に向けた情報交換を図るだけでなく、相談相手や仲間を増やす機会とした。

また、女性が将来のキャリアに、上司がマネジメントに悩むのは、社内外の情報やコミュニケーションが不足していることが理由の1つと考え、自主的に働きかけるネットワークを構築することを目的に、性別や職種、役職を限定せず集まることができる機会を創出している。

 

 

両立支援制度を整備し妊娠や出産後の活躍を促進

 

レンゴーは、子育てしながら働き続ける社員をサポートし、妊娠や出産後も長期的に活躍してもらうため、両立支援制度などワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の両方を充実させる働き方・生き方)を重視した施策も推進している。例えば、育児休業や育児短時間勤務に加えて、子どもが小学校第3学年修了前まで、子ども1人につき年5日、2人以上の場合10日以内で取得可能な看護休暇、フレックスタイム制や時差出勤などの勤務時間に関する措置、福利厚生代行サービスの利用料の一部補助などを実施している。

男性の育児休業取得促進にも注力しており、同社の育児休業取得者における2014年度の取得率は女性が100%に対して、男性は7.8%と大きな差があったが、性別を問わず働きやすい職場を実現していくため、2015年度からキャンペーンを実施。対象となる男性だけでなく、男性を部下に持つ上司にも働きかけ、男性が育児休業を取得する風土の醸成とその定着を進めてきた。

また、家族の在り方が多様化する中、個々の価値観を尊重した上で、企業として子どもの誕生を祝福し、子育てを制度面と経済面の両方からサポートすべく、第3子以降の出産に100万円の祝い金を贈呈するなど、少子化対策・次世代育成支援も行っている。制度発足から18年半が経過した2024年9月現在、同社社員の第3子以降の誕生は500名に達したという。

このような取り組みを行った結果、同社の正社員の女性比率は2018年度9.7%から2023年度13.7%へ、管理職の女性比率は同4.8%から5.9%へ増加。男性の育児休業取得率は、同67.2%から32.8ポイント増えて100%を達成した。

女性の活躍推進に関する取り組みが評価された同社は、2016年に女性活躍推進法に基づく基準に適合する一般事業主として、厚生労働大臣より「えるぼし」(認定段階3)企業に認定。

その後、女性の採用促進・積極登用・職域拡大に注力してきたことで、2020年11月に1ランク上の評価(認定段階2)を受けている。

また、2018年には、次世代育成支援対策推進法に基づく基準に適合する一般事業主にも認定され、高い水準の取り組みを実践する優良な「子育てサポート企業」として、2008年、2011年、2014年、2018年の4回にわたり「くるみん」認定を取得。2018年には、特例認定である「プラチナくるみん」も取得した。

さらに、2022年7月には、米国の金融サービス企業であるMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が定めるESG指数の1つで、性別多様性に優れた企業を対象に構築される「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」の構成銘柄にも選定されている。

女性がより主体的に挑戦し、能力を最大限に発揮できるようにするためには、固定的な性別役割分担意識を打破し、個人の強みを生かしながら活躍できる職場や役割づくりに挑戦することが重要である。企業価値の向上には、さまざまな価値観・考え方・発想を持つ多様な人材が共に働くことで生まれるイノベーションが不可欠なのだ。

※ MSCIが開発した、高い性別多様性を指向・維持する日本企業で構成される株価指数

 

 

レンゴー(株)

  • 所在地 : 大阪府大阪市北区中之島2-2-7 中之島セントラルタワー
  • 創業 : 1909年
  • 代表者 : 代表取締役社長兼COO 川本 洋祐
  • 売上高 : 9007億9100万円(連結、2024年3月期)
  • 従業員数 : 2万3389名(連結、2024年3月現在)