成長に見合った体制で社員の力を100%引き出す
若手幹部候補研修の参加者は、M&Aでグループインした企業も含めた各社が幹部候補人材を推薦し、その中から選定される。2023年9月から6カ月にわたって実施されたこの研修には、全国各地の拠点から女性5名を含む42名が参加。最年少は29歳と、年齢も勤務地も職種も異なる人材が一堂に会して部下の育成やリーダーシップ、計数管理、経営などを学んだ。一方的な講義だけでなく、グループディスカッションに重点を置きながら、学んだ内容の職場への落とし込みや行動を促す実践型のカリキュラムが最大の特徴となっている。
初めての試みとなる若手幹部候補研修は、2024年3月に全カリキュラムを終了。その成果について藤巻氏は、「参加者の顔つきが変わり、話す内容も変化している」と手応えを感じている。
「研修後に参加者と話す中で、目線が変わったなと感じることが何度かありました。次世代教育研修を通して、自分の言動に対する答え合わせができたのではないかと思います。普段、参加者は部下に指示や助言をする立場にあるものの、自分の考えや判断が正しいのか迷ったり、不安に感じたりすることが多々あるでしょう。今回の研修を通して、自分のやり方が間違っていないと確認できたり、別の方法を見つけたりすることができた。人を動かす立場として引き出しが増えたこともあり、これまで以上に自信を持って部下と接することができていると思います」(藤巻氏)
実際、若手幹部候補研修に参加した約4割が次年度に昇進するなど、次世代を担う人材育成につながっており、参加者を入れ替えながら今後も継続して実施していく予定である。
1948年に藤巻鋼商店として創業したFUJIMAKI GROUPは、鋼材商から脱皮し、「徹底したお客様本位の発想」で顧客を全国に広げ、事業を拡大してきた。その成長を支えてきたのが各拠点で奮闘する社員だが、同社の人材育成において繰り返し出てくるのが「自己実現」というキーワードだ。プレート業界で「世界一の会社になる」というビジョンを掲げると同時に、「社員一人一人の自己実現を応援する企業でありたい」と藤巻氏は言う。
「人は、なりたい自分になろうとする時、100%の努力ができると私は考えています。もちろん、給与や福利厚生などの待遇は働くモチベーションにつながりますが、本人の内側から出てくる思いが、やる気やモチベーションを上げる最大の原動力になる。それがないと、本人が持つポテンシャルを100%引き出すことはできません」(藤巻氏)
成長の裏には、人材活用に対する藤巻氏ならではの哲学がある。さらに、グループ売上高1000億円を目標に掲げる同社にとって必要なのは「人にお願いできる人」だと藤巻氏は言う。
「10人が高いモチベーションで仕事をすると15人分、20人分の仕事ができるでしょうし、そうした人材が集まっているのが今のFUJIMAKI GROUPだと思っています。ただ、今後さらに成長するには、周りの人にやりたいことを伝えて仲間をつくり、周囲を巻き込みながら前に進んでいく人材を増やしていくことが必要です。そうなると成果が上がりますし、それが企業風土になれば、自然と人材が育っていくでしょう」(藤巻氏)
プレート業界で世界一の会社へ。社員とともに進むFUJIMAKI GROUPの歩みはこれからも続いていく。
F&Cホールディングス 代表取締役社長 兼 CEO 藤巻 秀平氏
(株) F&Cホールディングス
- 所在地 : 愛知県名古屋市東区武平町5-1 名古屋栄ビル6F
- 創業 : 1948年
- 代表者 : 代表取締役社長 兼 CEO 藤巻 秀平
- 売上高 : 514億9161万円
- (グループ計、2024年8月期)
- 従業員数 : 1558名(グループ計、2024年8月期)