全国約9000社といわれる中堅企業。その特徴について、タナベコンサルティング取締役副社長の長尾吉邦は、「リージョン(地域)」「独自性と卓越性」「グループ経営」「若く挑戦意欲の高い経営者」と言えるという。
長尾吉邦「新設『中堅企業』、次世代型の成長へ」(『TCG REVIEW』2024年5月1日号)より、以下を引用する。
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まず、中堅企業は大企業と異なり、東京に集中しているわけではない。むしろ、各地域にこそ優秀な中堅企業が多い。地域愛が強く、雇用拡大をはじめ地域活性化に貢献する社会価値も高い。
また、歴史の中で培ってきた独自性と卓越性を持ち、グローバルニッチトップなど国際競争力を有する企業が多い。それだけに収益力も資金力も抜群だ。
近年は、M&Aや新しい事業の開発で事業数が拡大したことにより、ホールディングス・グループ経営体制を取り、さらなる成長に向けた経営体制へ変貌を遂げる企業が増えてきた。
若い経営者が多いのも特徴だ。肌感だが、大手上場企業と比べて10歳ほど若いのではないだろうか。挑戦意欲おう盛で、設備やM&Aなどへの投資、デジタルなど新しい経営技術の導入にも積極的である。
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つまり、日本経済の中でもとりわけ地域経済をけん引する存在として、中堅企業の活躍への期待は高い。
また、早稲田大学大学院経営管理研究科の教授・入山章栄氏は、「これからは地方企業も東京を目指すのではなく、いきなり世界進出を目指す時代。(中略)そうした企業が実際に表れており、これからの時代、感度の高い経営者の経営する中堅企業には大きな可能性がある」「これからの時代、中堅企業には勝機があり、変化の習慣化はとてつもないイノベーションを起こす可能性を秘めている」とし、「高い現場力」と「デジタル」を融合して唯一無二の強みを発揮する中堅企業事例を4社挙げている。(入山章栄氏「イノベーションが生まれる中堅・中小企業の組織とは」2023年10月、タナベコンサルティング「トップマネジメントカンファレンス」講演リポート)
タナベコンサルティンググループ(TCG)のクライアントの中で多いのは、まさに中堅企業である。創業者の田辺昇一は1974年、著書「田辺昇一の経営ノウハウ 中堅企業の経営再点検」(ダイヤモンド社)の中で、日本で初めて中堅企業の経営を定義した。創業時から中堅企業と向き合い、経営コンサルティングを継続してきたTCGは、いわば日本の中堅企業を知り尽くす唯一無二の経営コンサルティングファームであり、これからも中堅企業を志す企業の期待に応えていく。
中堅企業の成長は、日本経済・地域経済にとってインパクトが大きい。中小企業は中堅企業へ進化し、中堅企業は日本経済の先頭に立ち、リーダーシップを発揮していこう。