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マーケット・スタッツ

最新の調査データから、各業界や分野、市場に関する動向・トレンドを分析。企業が進むべき方向性を示します。
2018.03.30

特集1:ファミリービジネス


2018年4月号

 

 

高齢経営者(70代)の4割超が
「事業承継」未着手

 

組織は戦略に従い、戦略は理念に従い、理念は組織で経営されて成果となる。つまり、志の連続性が会社の寿命を決める。そして100年経営は、経営理念の継承者である「次代を担えるトップ」を何人つくることができるかで決まる。事業承継こそ最大の事業戦略であり、これほど重要な経営技術はない。

 

帝国データバンクの「事業承継に関する企業の意識調査」(2017年)によると、事業承継に対し「経営上の問題のひとつと認識している」と答えた企業が57.5%と半数超を占めた。「最優先の経営上の問題と認識している」(13.6%)を合わせ、約7割の企業が事業承継を経営問題として捉えていることが分かる。(【図表1】)

 

 

201804_01_market01_01

 

 

ただ、実際に事業承継を進めるには課題も多いようだ。事業承継計画の有無を聞いたところ、「計画があり、進めている」と答えた企業は22.9%にとどまり、「計画はあるが、まだ進めていない」「計画はない」という“未着手”企業が合わせて50.4%と過半数に達していた。

 

それぞれの割合を経営問題の認識度別に見たところ、「(承継は)最優先の問題」と捉える企業は約半数(47.0%)が計画を進めていたが、「問題のひとつ」と捉える企業は25.5%と4分の1にとどまり、未着手の回答(計画を進めていない+計画はない)が56.1%と半数を超えていた。

 

また、承継計画の有無を社長の年齢別に見ると、社長の年齢が上がるにつれ、計画を持って進めている企業の割合が高まる傾向にあった。だが、平均的な社長引退年齢とされる「70代」の企業でも3社に1社の割合(36.2%)にとどまり、未着手の割合(44.0%)が上回っていた。(【図表2】)

 

「計画はあるが、まだ進めていない」「計画はない」理由としては、「まだ事業を譲る予定がない」が35.8%と最も高い(複数回答)。次いで「後継者が決まっていない」(35.2%)、「自社には不要(必要性を感じない)」(18.3%)、「事業の将来性に不安がある」(16.9%)などが続いた。(【図表3】)

 

 

201804_01_market01_02

 

 

一方「すでに事業承継を終えている」と回答した企業に、承継による業績への影響を尋ねたところ、承継した翌年度に「プラスの影響があった」企業は26.0%、「影響はなかった」企業が55.9%と半数超だった。さらに、5年後では「プラスの影響があった」が30.8%に上昇。時間の経過とともに、承継の効果が表れているといえる。

 

円滑な事業承継のために必要なこととしては、「現代表(社長)と後継候補者との意識の共有」が60.4%で最も高い(複数回答)。以下、「早期・計画的な事業承継の準備」(46.3%)、「経営状況・課題を正しく認識」(45.7%)、「早めに後継者を決定」(42.7%)が続いた。

 

 

 

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