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研究リポート
『成長M&A』実践研究会
「戦略」と「実行のスピード」をポイントに、アフターコロナ時代に求められる戦略の方向性と、それを実現するためのM&A・アライアンスの手法を学びます
研究リポート 2025.05.19

人材交流による組織活性の取り組み ローンディール

【第2回の趣旨】
人的資本研究会は、「人材投資は活育サイクルをどう磨くか!人への投資がこれからの企業価値を決める」を今期のテーマとしている。
第2回では、ゲスト企業2社にご講演いただき、リコー様からは「リコー式ジョブ型人事制度」、ローンディール様からは「越境による組織変革の可能性」についてご講演いただいた。

開催日時:2025年4月18日(東京開催)

 

はじめに

 

株式会社ローンディールは2015年に設立され、Mission『日本的な人材の流動化を創出する』を掲げ、ヒトを通してイノベーションとリーダーシップの向上に寄与している。

 

大企業からベンチャー企業へ人材の『レンタル移籍』のプラットフォームの提供を行い、大企業の人材育成・組織変革とベンチャー企業の事業成長を可能にしている。

 

また、オンライン研修や地域や地元の高校の課題解決に取り組むなど、 “越境”をキーワードに幅広い価値提供を行っている。

 

導入実績として、大手企業100社、累計1000名以上の大企業に人材の越境機会を提供しており、同社の存在価値は認識を広め続けている。

 

同社の考える“越境”とは何か。また、それらがもたらす大企業、ベンチャー企業のメリットとは何かをまとめた。

 

人材交流による組織活性の取り組み ローンディール
(株)ローンディール ※同社HPより引用

 


 

越境学習とはホームとアウェイを往還することによる学び

 

未知との出会いがヒトを育成し、企業の発展につながる

 

同社は、越境学習を通じて、これまでにない新しい価値を生み出す取り組みを行っている。越境学習とは、移籍者がベンチャー企業の一員として業務に本気で取り組むことで、大手企業では得られない経験や学びを得る仕組みだ。

 

移籍者は、これまで培ったスキルや経験を活かしながら、ベンチャー企業特有のスピード感や柔軟性を体感し、自分自身と向き合う機会を得る。これにより、内なる発見(自身に対する気づき)や知の拡張(自社では得られない学び)という二面性を持つ学びが生まれる。

 

さらに、越境学習ではスキル、マインド、視点の3つの要素を通じて成長を促進する。具体的には、ベンチャー企業での実践的な業務を通じて新たなスキルを習得し、挑戦的な環境での経験を通じてマインドを鍛え、異なる視点から物事を捉える力を養うことができる。このような学びのプロセスは、移籍者自身の成長だけでなく、所属する企業やベンチャー企業にも新たな価値をもたらす。

 

同社は、座学と実践を組み合わせた「アウェイ」の環境を提供することで、従業員が「ホーム」では得られない気付きや学びを体感できる場を創出している。この取り組みは、個人の成長を促進するとともに、企業全体の競争力を高める重要な要素となっている。今後も、越境学習を通じて新たな価値を創造し続けることで、持続可能な成長を目指していく。

 

レンタル移籍を通じてリーダーシップを獲得
(株)ローンディール ※同社HPより引用

 

知の探索に推進により、イノベーションを生み出す

 

大手企業にイノベーションを生み出す多様性の推進支援

 

同社が提供する越境学習プログラムは、大手企業の人材育成と組織開発において重要な役割を果たしている。このプログラムは、参加者のスキル、マインド、視点の育成を促進し、エンゲージメント向上やDE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の推進、社員のキャリア自律を支援する仕組みを備えている。

 

特に、成長・成熟期にある大手企業では、効率的な目標達成を重視するマネジメント能力が求められる一方、個人が意思決定を行う機会が希薄になりがちだ。このような状況下で、越境学習は新しい知識を探索する貴重な機会を提供し、組織の活性化に寄与している。

 

また、このプログラムは、未経験の環境を体験することで参加者のエンゲージメントを向上させる効果もある。さらに、大手企業とベンチャー企業を繋ぐ仕組みを通じて、人材を媒介としたイノベーションの創出を目指しており、企業間の相互作用を促進する。

 

同社の越境学習は、単なる人材育成を超え、企業の競争力強化や社会的価値の創造に貢献する革新的な取り組みである。

 

今後もこのプログラムを通じ、企業の持続的成長と社会への貢献が期待される。

 

レンタル移籍とは
(株)ローンディール ※同社HPより引用

 

大手企業のノウハウを活かして企業発展につなげる

 

クロスボーダー人材活用により、あるべき姿を描く

 

同社では「クロスボーダー人材」を、大企業で働きながら稼働時間や期間を限定してスタートアップ事業に参画する人材と定義している。ベンチャー企業にとって、転職市場では出会えないような優れた人材と出会え、協業の推進や事業成長につながるなどのメリットを提供している。

 

特に、大企業のノウハウを取り入れることで、ベンチャー企業は組織運営や事業展開の効率化を図ることが可能となる。

 

さらに、同社は「レンタル移籍」のプロセスを円滑に進めるため、メンター制度を導入し、移籍中から移籍後までのフォローを徹底している。これにより、越境学習の効果を大企業、スタートアップ企業の双方で最大にすることを可能にしている。

 

同社がベンチャー企業と大企業の間に立ち、人材の流動化を促進することで、双方の競争力を高めるとともに、社会全体のイノベーション創出に寄与している。今後もこの取り組みを通じて、持続可能な成長と新たな価値の創造が期待される。

 

 

大企業からのレンタル移籍人材が企業成長を加速させる
(株)ローンディール ※同社HPより引用

PROFILE
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原田 未来 氏
株式会社ローンディール 代表取締役