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研究リポート
ナンバーワンブランド研究会
コロナ後の新しい時代に合わせた最新のブランディングを研究し、参加者の皆様が自社で実装するために、コンサルタントがアドバイス・サポートいたします。
研究リポート 2025.04.03

『小さな幸せを、地球の幸せに。』 ~共感起点のハイブリッド経営~ オタフクソース

【第4回の趣旨】
タナベコンサルティングの第4回ナンバーワンブランド研究会では、固有技術を深掘り、自社にしか提供できない技術力・体験価値を顧客との約束事として実現している先進企業事例として、オタフクソース株式会社、ベンダ工業株式会社へ訪問し、講演及び工場見学を体験させていただいた。
両社の特徴として、顧客の声を自社の独自技術として磨き上げ、技術の幅を広げ続けていることと、グループ経営を通じ、海外拠点・顧客支援体制の整備を通じて、成長を続けていることが挙げられる。
両社の視察より、持続的成長に必要な条件について、皆様と考える機会となった。

開催日時:2025年3月18日(広島開催)

 

「お多福」の心で、世界中に喜びと幸せを展開

 

オタフクソース株式会社は日本を代表する調味料メーカーであり、特にお好みソースはお好み焼きの代表的なソースとして、多くの家庭や飲食店に愛されている。コーポレートスローガンとして「小さな幸せを、地球の幸せに。」を掲げ、1922年の創業以来、常に顧客の目線を優先し、顧客の要望に応じて独自の商品を作るODM事業によって新たな価値を創造し続けてきた。

 

同社は1998年に米国で子会社を設立以来、海外進出にも力を入れてきた。現在は中国やマレーシア、フランス等にも活動の領域を広げ、「OKONOMIYAKI」を世界中に展開。日本食文化を発信・普及させ続けている。

 

今後も多くの人に福を広める「お多福」の心で、世界中に喜びと幸せを広げていく。

 

オタフクソースのお好みソースはお好み焼きの代表的なソースとして、多くの家庭や飲食店に愛されている。

 


 

お客様との共感×お好み焼きの特化

 

今でこそ「お好み焼きソースと言えばオタフク」というイメージが定着しているが、お好み焼きソースに限らず、顧客の要望に応じて多種多様な商品の開発を行うODM事業を行ってきた。ODM事業は、決められた仕様通りに生産を行うOEM事業とは異なり、自社で仕様の検討・提案を行う。

 

顧客の要望ごとに新たに商品の開発を行うことは一見非効率にも見えるが、あえてそれを行うことでレシピや開発・製造のスキル、市場トレンドといったノウハウを集積していった。そして習得した価値から新たな商品や新規事業を創造し続け、当時国内ではブルーオーシャンだった「お好み焼き」へと注力することになる。

 

顧客の困りごとに耳を傾け、共感しながらノウハウを集積し、選択と集中によって自社のポジションを確立する「共感と特化」のハイブリッドがオタフクソースの基盤となっている。

 

オタフクソース株式会社の運営する施設「Wood Egg お好み焼館」ではソースへのこだわりやお好み焼きの歴史等を深く知ることができる。
オタフクソース株式会社の運営する施設「Wood Egg お好み焼館」ではソースへのこだわりやお好み焼きの歴史等を深く知ることができる。

 

コト売り・ファンづくり×お多福の心

 

お好み焼きに特化することを決めたオタフクソースは、お好み焼きという食文化自体を広めることが自社のミッションであると考えた。

 

そこで同社は単にソースを売る「モノ売り」から、体験やソリューションといったプロセスを提案する「コト売り」への進化に注力した。試食販売やお好み焼き教室を通じた非日常体験の提供や、バイヤーに対するレシピやオペレーション等の問題解決型の提案をする一方、工場見学やコミュニティサイトを通じてファンを増やし、「お好み焼き=オタフク」という企業のブランドイメージを確立していった。

 

同時にそれらを実践する社員を大切にする仕組みづくりや社風の醸成にも力を入れた。社員の声に耳を傾け、身体的・心理的安全性を高めるとともに、社内の交流機会を増やし、社員同士の繋がりを強固なものとした。

 

そうして社員が当事者意識と、会社が大切にする「お多福の心=思いやりの心」を持つことで人々に喜びと幸せを広めていく。それを自身の喜びとして原動力・やりがいにつなげる企業文化がオタフクのブランドをつくっている。

 

ソースを売る「モノ売り」から、体験やソリューションといったプロセスを提案する「コト売り」への進化に注力

 

国内×海外=ハイブリッドで生み出すシナジー

 

オタフクソースは日本国内で培ったノウハウを生かし、海外進出にも力を入れてきた。1998年にアメリカに子会社を設立し、現在は中国やマレーシア、フランス等にも支店や工場を設けている。名称としては同じ「OKONOMIYAKI」でも、現地の顧客の声に応じて、その姿・形を柔軟に変化させ続けている。国内同様にODMの開発を通じて顧客の信頼を得ているのである。

 

また同時に海外での反響を踏まえて、インバウンド向けの試食会を実施したり、海外メニューを日本に取り入れたりすることで、国内と海外の活動の相乗効果を生み出している。

 

日本で培ったノウハウを生かして世界に展開し、そこで得た知見を日本に持ち帰る。そうしてシナジーを発揮することによってオタフクの「OKONOMIYAKI」は今後もさらに進化していく。

 

 オタフクソース株式会社 本社工場 工場ではソースのボトル詰めから出荷までの工程を見学することができ、学校の社会見学や修学旅行先としても人気がある。
オタフクソース株式会社 本社工場
工場ではソースのボトル詰めから出荷までの工程を見学することができ、学校の社会見学や修学旅行先としても人気がある。

PROFILE
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佐々木 孝富 氏
オタフクソース株式会社 代表取締役社長