【第1回の趣旨】
企業価値を高める戦略CFO研究会の第1回テーマは「ファイナンス思考による企業価値向上とCFOの役割」。CFOおよびファイナンス組織の在るべき姿は企業価値を最大化させるために「経営意思決定における真のビジネスパートナー」になることである。今回は、組織と個人の成長を両立しながら、社会貢献し続ける経営を持続するコーポレート機能とCFOの役割について学んだ。
開催日時:2025年2月14日(東京開催)
はじめに
一般社団法人 日本CFO協会/日本CHRO協会シニア・エグゼクティブの日置氏は、PwC、IBM、デロイト、BCGでコンサルティングに従事。現在はre-Designare合同会社代表、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科兼任講師他、事業会社やメディア、ITベンダーでアドバイザーや顧問を務める。日本企業が世界で勝ち抜くためのグローバル競争力・経営力の強化に向けた提言活動をライフワークとして推進しており、今回は全社戦略の策定・実行に向けて、CFO率いるファイナンス組織の役割と真価についてご講演いただいた。
(出所:日置氏ご講演資料より)
コーポレートの担うべき役割
コーポレートの担うべき役割はリソース・アロケーション(経営資源配分)であり、限りある経営リソースを生かし切ることがポイントである。リソース・アロケーションの実践に向けて、コーポレートが備えるべき組織能力として、世間のトレンドや中長期と短期をつなぐマネジメントを先見する「先を読む能力」、強いチームの組成に向け最適な機能を配置する「構えを整える能力」、シナリオ思考でリスクと機会を把握する「リスクを捉える能力」の3つがある。コーポレートがこれらの能力を備えることで、早く気付き、早くから考え、早く動ける企業体質が確立できる。そうして、適時性の高い経営判断をくだすからこそ、企業価値を持続的に成長させることができるのである。
(出所:日置氏ご講演資料より)
ファイナンスの真価
これまでの対話から得たCFO観として「金を正しく使わせる人」「企業としての“価値“を語れる人」「会社のことを最もよく知る人」をCFOと定義する。中でも、「お金を正しく使わせる」役目においてはコストを抑えるだけではなく、ビジネス上のリスクや効率を正しく把握することが求められる。また、CFO配下にあるFP&A部隊はビジネスを勝たせることが役目であるため、事業特性を捉えた適切な業績分析、マクロや競合の動向を踏まえた将来インサイトの提供、最適にキャッシュを配分・調達するための基盤整備なども必要だが、加えて、社内や自席のみで時間を過ごすのではなく、ビジネスの現場に出張り、事業理解を深めながら、ファイナンス機能を発揮する行動力が重要である。
(出所:日置氏ご講演資料より)
組織と個人の成長を両立しながら社会貢献し続ける経営
コーポレートが強いとは能力が高く影響力を発揮できることであり、強いビジネスとは稼ぐ力が強く未来への原資を生み出せることである。これらの強いコーポレートと強いビジネスを両輪駆動させるには、CFOを含めた経営陣(マネジメントチーム)の進化が必須であり、それが実現されてはじめて強い企業経営となり得る。
企業に問われているのは、人材を単に人的資本と言い換えるのではなく、「Ability(能力)+Motivation(動機)+Opportunity(機会)=Performance(結果)」という人の成長の方程式のうち、成長を実感する「O(機会)」を生み出し、個々人に提供し続けられるかである。その結果として、社会への貢献を果たしながら企業価値を高めていくことが重要である。
(出所:日置氏ご講演資料より)

シニア・エグゼクティブ