DE&I(多様性・公平性・包括性)が、持続的な成長を実現する経営戦略に不可欠となる中、人的資本経営の重要性も高まり、柔軟でクリエイティブな仕事を創造する組織開発が急務となっている。Surpassは、女性のポテンシャルを最大限に生かし、顧客創造の営業DXや、DE&Iを推進する組織開発・人材育成の支援サービスを提供。自らも女性活躍推進のトップランナーであり続けている。
「DIGITAL PATH YUZAWA」を開設
女性の能力が十分に生かされない現状を「日本にとって眠れる資源」と問題提起するのは、Surpassの代表取締役社長である石原亮子氏だ。同社は、DE&Iの第一歩は女性活躍推進と位置付け、働く女性が長期的にキャリアを築ける環境づくりを目指す。同社も管理職と社員それぞれで女性が8割を占めるなど、女性活躍シーンを体現し、「Forbes JAPAN WOMEN AWARD」を受賞している。
国内企業の多くは男女間の賃金・就労格差が大きく、地方都市ではテレワークなど柔軟な働き方で安定的な収入が得られる就労先も不足している。地元で働きたい女性や若者の意欲と働く環境のミスマッチが続く課題を解決するため、同社は2021年にSalesforceを中心としたITスキル活用の女性デジタルリスキリング事業「TECH WOMAN」を始動。デジタルスキルの習得研修やアドミニストレーター育成・資格取得、実務経験や就労支援の機会創出まで支援する。
これまでも徳島県徳島市や広島県三原市と提携しTECH WOMAN事業を展開し、実績を積み重ねてきた。地方在住の女性の経済的自立と地域経済の活性化の両立を目指す、地方自治体と提携する共創型の課題解決モデルである。2030年には数百万人単位でDX人材が不足すると予測され、多くの働き手がリスキリングを迫られる時代を迎えている。そうした中、同事業では全国的に導入が進むSalesforceに着目。そのオペレーションを現場に定着させ、機能を最大限に引き出して生産性向上へとつなげる「頼れるコンシェルジュ」を育成している。
女性デジタル人材に対し、テレワークによる活躍とキャリア形成を支え、雇用を通じて地域のDXをけん引する。この取り組みは結果として、ジェンダー・地域・年収という3つの格差(ギャップ)の解消につながっている。
最新の取り組みが2026年2月、秋田県湯沢市に開設したTECH WOMAN事業の新オフィス「DIGITAL PATH YUZAWA」である。デジタル人材を育成して女性活躍の機会を広げ、地域に根差した持続可能な働き方の創出を目的とする「地産知育」の新拠点だ。
開設の背景には、DXの進展でIT人材ニーズが高まる一方で、地方では就業機会の選択肢が限られ、秋田県や湯沢市で女性や若者の人口流出が止まらない課題がある。地域に根差すDX推進やデジタル人材育成による新たな働き方を提案し、女性が「やってみたい」「稼げる」と思える仕事ができる雇用環境の整備が待ち望まれていた。
地元女性の雇用創出や、企業のDXニーズ、経済・ビジネス活性化という地域課題の解決に寄与するDIGITAL PATH YUZAWAは、秋田県・湯沢市と提携して東北初の「地域×DX推進×女性IT人材育成」のモデル事業として展開。女性活躍・DX推進・地域活性化が連動する波を、秋田から全国へと起こす官民連携の挑戦である。
「日本の人材不足は本質的な課題ではない。女性の眠れる能力を生かし切れていない仕組みの問題であり、全国共通の社会課題だ」と石原氏は指摘する。これは、人材確保が困難な地方においてこそ、女性の活躍が持続可能な働き方を創出する鍵となる証しである。実際、秋田県や湯沢市、地元関係者からも「女性の力をしっかり発揮できれば、日本経済は成長する」と、経済的インパクトへの期待も高まっている。
「偏りのない景色」が未来を開く
秋田県の人口は約88万人(2025年時点)であり、2017年に100万人を割って以来、毎年1万人規模で減少し続けている。DIGITAL PATH YUZAWAには、厳しい環境にある秋田県において成果を創出し、全国各地で横展開できる「再現可能なモデル事業」となるミッションがある。
「全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)」(文部科学省)では常にトップクラスの成績を維持し、高い教育水準を誇る秋田県だが、一方で優秀な若年世代の人材、特に女性は次々と県外へ流出している。要因は、就業機会の少なさに加え、就業後に思うように活躍できないことがある。稲庭うどん発祥の地である湯沢市も、四半世紀で人口がほぼ半減。老年人口(65歳以上)の高齢化率は40%を超え、2050年に生産年齢人口(15歳~64歳)が35%まで低下すると推計されている。
日本社会のジェンダーバイアスは都市部を中心に解消しつつあるが、男性主導の働き方や性別による役割分担など、地方の伝統的な価値観・環境による「アンコンシャスバイアス」(無意識の偏見)は今も根強く残っている。同県では、県内の女性議員ネットワークや民間リーダーが、地域の現状を見つめ直しバイアスを打破する現実的な手段として、「女性活躍の推進」「多様性の拡大」を地域社会や企業が受け入れることを提言。また、「女性だからできない」というアンコンシャスバイアスから、女性自身が脱却していくことの重要性も訴えている。
こうしたバイアスがもたらすリスクは、企業経営においても同様である。一方で、女性活躍を「女性のみの変化」と捉える誤解も多い。女性単体に輝きを求めるのではなく、社員一人一人がそれぞれの個性を放ち、多様な視点と接点を併せ持って活躍できるDE&Iの組織を体現すること。それこそが、全社的な企業価値を高める真のトリガーとなることを忘れてはならない。
Surpassは社内に「女性活躍推進総研」を開設し、経営者・幹部・管理職を対象に、グローバルスタンダードなDE&Iの認識を高める研修事業を企業や自治体、地方銀行などへ提供している。「経営トップやリーダー層がDE&Iを受け入れ、経営の土台づくりを進めてこそ世界が変わり、新しい景色が目の前に開けます」と石原氏は語る。これまで管理職を選択肢に入れていなかった女性リーダー候補者の受講も増えており、自らの成長やキャリアに限界を設けていたマインドに変化が表れ始めている。
性別や国籍、障がいの有無といった属性の違いを問わず、誰もがそれぞれに得意なことを共有し合い、互いの価値を生かし合うように。未来の女性リーダーたちが、多様な視点でビジネスに新たな価値を創造する可能性に対して、自らの手でふたをしてしまうことのないように。そして、女性活躍の推進がDE&Iの実現へと歩みを進め、持続的な成長を遂げるための確かな原動力となるように。男性中心で形づくられてきた従来の日本社会の構造とは異なる、新しい「偏りのない景色」を実装していくことが、今、地域や地元企業のリーダーに強く求められている。
「日本社会から『女性活躍』という言葉がなくなる日を目指して」を理念に掲げるSurpass。グループの一翼を担うタナベコンサルティンググループの全国ネットワークと連動性を高め、各地の自治体や地元企業を巻き込みながら、男女や地域の格差を乗り超えて未来を開く「地方発×人材育成=価値創造」モデルの開発に、同社はこれからも挑み続ける。
(株)Surpass(タナベコンサルティンググループ)
- 所在地 : 東京都品川区西五反田7-20-9 KDX西五反田ビル3F
- 設立 : 2008年
- 代表者 : 代表取締役社長 石原 亮子