自分らしい働き方や長期的なキャリア形成を支援
男性エンジニアが大多数を占める日本のIT業界において、サイバーエージェントは創業以来、性別に関係なく活躍できる環境を整え、女性社員が長期にわたって活躍できるよう積極的に取り組みを進めている。働く女性社員の課題に向き合い、満足度の高い施策を継続して実施してきた同社の人事制度と福利厚生について紹介する。
動画ストリーミングサービス「ABEMA」などのメディア事業やインターネット広告事業を中心に躍進を続ける同社では、性別を問わず優秀な人材が活躍している。同社は女性活躍推進に注力しており、2024年9月期の全従業員に占める女性比率は33.7%、管理職全体における女性比率は24.9%、産休・育休後の復帰率は97.1%(単体)と、日本のIT企業の中でも女性の長期活躍を実現している好事例である。
同社は、福利厚生において「挑戦と安心はセット」という考えのもと、社員が自身のキャリアや職場環境に安心感を持ち、長く働き続けることができる人事制度や福利厚生を充実させている。
中でも、働く女性を支える社内制度として注目すべきは、女性活躍促進制度「macalonパッケージ」と、女性活躍推進組織「CAramel(カラメル)」である。
macalonパッケージは、2014年に導入された女性活躍促進制度である。社員が長く継続して働くことができる職場環境を目指して独自の9つの制度をパッケージ化したものだ。(【図表】)
【図表】「macalonパッケージ」の9制度
出所 : サイバーエージェントホームページを基にタナベコンサルティング戦略総合研究所作成
「macalon」には、「ママ(mama)がサイバーエージェント(CyberAgent)で長く(long)働く」という意味がある。中には、利用率が60%を超えている制度もあるなど、「時代の変化に合わせた働きやすい環境づくりが社員の継続的な活躍につながる」という考えに基づき、社員が気持ち良く制度を利用するため、周囲や上司の理解を促す勉強会も開催するなど、全社員が時代に合わせたアップデートを行える仕組みになっている。
女性社員が課題を見つけて自発的に解決策を発案
2017年に発足したCAramelは、女性が働きやすい環境を現場の女性社員が自らつくっていく取り組みだ。「女性社員のリアルな声を経営層に届けたい」「女性社員同士の交流の機会を増やしたい」という思いのもと、全社取り組みの「あした会議※」をきっかけに発足した全社横軸組織である。CAramelという名称は、「部署の垣根を超えた社員同士の横のつながりをつくり、”絡める” 」ことからきている。
「十人十色の働き方を応援する」をテーマに、共感する有志の女性メンバーで構成されており、ライフステージの変化がキャリアに影響しやすい女性がさまざまな働き方を知り、変化をポジティブに受け止め、中長期的にキャリアを築いていけるようにサポートしている。
女性社員自らが自社全体を俯瞰し、どこに組織の課題があるかを自発的に見つけ、自分たちで解決策を発案しているのが特長で、macalonパッケージの「卵子凍結補助」などもCAramelの提案により始まったものである。
また、キャリアの選択肢を示すさまざまなテーマのイベントや勉強会、女性社員同士のつながりを生み出す食事会などを実施するほか、女性活躍推進活動を社内外に伝える広報活動にも力を入れている。
男性を巻き込んだイベントも実施し、双方にアプローチしていくことで男女の相互理解を促し、結果的に女性社員にとって働きやすい環境をつくることが狙いだ。
同社では、女性活躍をダイバーシティー&インクルージョンの第一歩だと捉え、女性だけが優遇されるのではなく、男女を問わず若手からベテランまで職種関係なく活躍できる環境を追求していった先に、「“自然と”女性が活躍している状態をつくり出すこと」を重視している。
女性活躍が進み、さまざまな社会変化を背景に個人の価値観やライフスタイルの多様化が進む中、同社は今後も社員のライフプランやキャリア形成の選択肢を広げるとともに、一人一人の社員が能力を発揮しながら自分らしく長期で活躍できる職場環境の実現を目指す。
※ サイバーエージェントの中長期的な経営課題や、大型の人事、新事業・子会社の設立提案などを企画し、代表取締役の藤田氏にプレゼンテーションを行う、年1回開催の会議。役員が社員を約4、5名ずつ選出し、チームを編成する
(株)サイバーエージェント
- 所在地 : 東京都渋谷区宇田川町40-1 Abema Towers
- 設立 : 1998年
- 代表者 : 代表取締役 藤田 晋
- 売上高 : 8029億9600万円(2024年9月期)
- 従業員数 : 7720名(2024年9月現在)