メインビジュアルの画像
コラム
コラム
タナベコンサルティンググループの経営コンサルティングの基盤となる考え方や経営トレンドに関するコラムです。
コラム 2024.08.01

8割以上がビジョン構築に課題、全社に浸透している企業は2割未満 長期ビジョン・中期経営計画に関するアンケート調査、2024年度 企業経営に関するアンケート調査

長期ビジョンを構築・推進できる未来創造機能の構築を

 

これらの調査を踏まえると、戦略的にビジョンを推進していくには、次の3つのポイントが重要になる。

 

1.独自の強みを生かした長期ビジョンを構築する

新商品・新事業開発、事業ポートフォリオ転換には、戦略構築と投資が不可欠であり、そのロードマップが長期ビジョンである。多くの企業が、長期ビジョンの必要性を認識していながら構築できていないという課題を抱えており、会社としての未来創造機能(組織)の強化が求められる。また、ビジョン構築に不可欠な4つの要素(DX、M&A、グローバル、サステナビリティ)を戦略的に組み込むことが大切になってくる。

 

2.バックキャスティングで中期経営計画を策定する

現計画を振り返り、次の中期経営計画を策定する際、長期ビジョンと照らし合わせることで、今の不足と次のロードマップを社員に正しく示すことができる。長期ビジョン構築とバックキャスティングで中期経営計画の策定を行うことにより、場当たり的な計画から脱却し、柔軟性の高い戦略の実行が可能となる。

 

3.中長期ビジョンの推進を通じ、10年後に主役となる次世代経営メンバーを育成する

次世代経営メンバーが中長期ビジョンの推進に参画することがメンバーの成長の機会となり、次世代の事業・組織基盤の構築につながる。そのことを理解した上で、主体となるメンバーの編成や、組織能力の強化を目的とした長期的な育成プラン、計画的な投資が望まれる。人材への投資は、企業の未来に直結する。

 

いかに素晴らしい事業戦略も、推進されなければ意味がない。組織全体のマインドセットを通じて、戦略推進レベルの底上げを図っていくことが重要である。経営理念からビジョン、方針、そして社員一人一人の行動までをつなぐ「物語」を今一度見直し、そして自社の強みとなる経営資源を、どのように生かしていくのかを設計していただきたい。物語は、それぞれの会社の中にこそある。あらためて自社オリジナルの「戦略ストーリー」を描き、ステークホルダーと一緒になって「クオリティリーダーシップ」を実行していただきたい。

 

 


【調査概要】

調査名称: 2024年度 企業経営に関するアンケート
調査主体: 株式会社タナベコンサルティング
調査手法: インターネットによるアンケート調査
調査対象: タナベコンサルティング主催「経営戦略セミナー2024」に参加した経営者、経営幹部など1070件(有効回答数)
調査期間: 2023年12月8日~2023年12月22日
調査名称: 長期ビジョン・中期経営計画に関するアンケート(2023年10月)
調査主体: 株式会社タナベコンサルティング
調査手法: インターネットによるアンケート調査
調査対象: 全国の企業経営者、役員、経営幹部、部門責任者、デジタル担当者など468件(有効回答数)
調査期間: 2023年9月4日~2023年9月22日