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モデル企業

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【企業事例】優れた経営戦略を実践する企業の成功ストーリーを紹介します。
モデル企業 2024.08.01

会社の未来像が「自分事」になる研修プログラム

ハピネット

2年目からは行動フェーズへ移行

 

ビジョン・バリューの浸透プロジェクトは、2年目からはメインテーマを長期ビジョンに連動して策定したカンパニービジョンの浸透に注力した。カンパニー別に一般社員向けプログラムのみを実施し、管理職はファシリテーターなど、浸透マネジメントを実践する運営役に回った。

 

2024年で3年目を迎えた同プロジェクト。継続して実施することにより、社員対象の組織診断アンケートにおいて「会社が理念浸透に取り組む」という項目の評価ポイントが向上したという。

 

「1年目は社員がビジョンを受け止め自由な発想で考えることを重視し、粒度やレベル感にこだわり過ぎないようにしました。2年目以降は、事業特性を踏まえたカンパニービジョンを浸透する方が、業務とひも付けやすいと考えました。カンパニー内のコミュニケーションが活性化し密になれば、それだけ日常業務も円滑になり、一体感の醸成にもつながっていくのでは」と吉野氏は話す。3年目の2024年度は中期経営計画の最終年度としてビジョンを復習しながら、どんな行動ができたか、できなかった場合は、その理由が何だったのかを話し合い、アウトプットにつなげるワークシートを作成する予定だ。

 

また、ビジョンの理解・浸透から、具体的な行動を起こすフェーズへ移行した今は、全社員へのフィードバックが始まっている。「ビジョン行動」(ビジョンとひも付く行動)の事例をアンケート調査で収集し、全社員分を一覧化。また、各カンパニーが推薦する社員の事例を深掘りし、どんな思いで、どのようなビジョン行動の目標を立て、実際に行動したのか、具体的な事例をストーリー化。どちらも、社内イントラで公開・共有している。

 

プロジェクト後の速やかなフィードバックで、ビジョン行動という言葉が共通語として社内に定着しつつある。「行動事例は、日常ルーティンの改善や、他部門との新たなコミュニケーションづくりなど、特別な施策ではないけれど、普段の業務で誰もがまねできるような事例を選定してもらいました」(吉野氏)

 

同社は今後、ビジョン行動を人事評価に連動していくことを視野に入れている。

 

「新たな取り組みとして、目標完遂シートに社員一人一人が『長期ビジョンに向けた行動』を記載する項目を追加しました。定性的な項目ですが、ビジョン行動につながる一環として、自己評価を意識するきっかけになればと考えています。

 

2025年度には新たな中期経営計画が始まりますし、まだ社員によってビジョン浸透度の差があるとも感じているので、取り組みは継続していきたいですね。日々の忙しさに、どうしても長期的な視点は抜け落ちてしまいがちですから、定期的にビジョンと向き合う機会を持つことが重要なのです」(佐野氏)

 

プロジェクトの推進とともに歩みを進めた中期経営計画は、売上高・経常利益ともに目標を達成し、過去最高を更新中だ。ビジョンを明確に言語化し、浸透・定着することの重要性や、ビジョン行動の蓄積が経営資源になることを、同社は示している。

 


ハピネット 経営本部 経営企画部 経営企画チーム 佐野 詩織氏(左)、吉野 美玲氏(右)

 

 

(株)ハピネット

  • 所在地 : 東京都台東区駒形2-4-5 駒形CAビル
  • 設立 : 1969年
  • 代表者 : 代表取締役社長兼最高執行責任者 榎本 誠一
  • 売上高 : 3504億円(連結、2024年3月期)
  • 従業員数 : 1081名(連結、2024年3月現在)