その他 2024.05.01

戦略的マーケティングDXで企業の付加価値を高める

リーディング・ソリューション

ビジネスインパクトを出すには推進リーダーの存在が不可欠

 

デジタルマーケティング成功のポイントとして、推進チームが「商品知識」「デジタルマーケティングの知識」「顧客・競合知識」の3つの要素を全てそろえているということが挙げられる(【図表2】)。

 

【図表2】デジタルマーケティングの成功要因
【図表2】デジタルマーケティングの成功要因
出所 : タナベコンサルティング主催「DXフォーラム2024」(2024年1月)講演資料より作成

 

しばしば見られるのが、デジタルマーケティングの知識を持つ専門家を社外からリーダーとして採用したものの、想定したほどのビジネスインパクトの大きさにはつながらないケースである。

 

「この3つの知識を有する人材がチームとして集まれば良く、実際にはデジタルマーケティングの知識・テクノロジーなどに関する専門家よりも、社内を熟知しており、実行力を行使できる人を推進リーダーにする方がうまくいくことが多いです。

 

例えば、ウェブサイトやCMSなどの『パッケージ』、デジタル化研修やeラーニング、ワークショップなどの『ノウハウ』、SEO、広告、メール配信などの『施策』、メンバー構成や外部コンサルタント活用などの『組織』、会議体、KPI(重要業績評価指標)管理方法などの『マネジメント』といった5つの観点で標準化し、推進リーダーを中心に各事業分野に転用。これにより大きなビジネスインパクトが創出され、成功している企業もあります」(中田氏)

 

また、デジタルの専門知識は変化のスピードが速いことを踏まえると、社内に人材を抱えず、アウトソーシングするのも一案だ。「たとえデジタルマーケティングに精通していなくても、商品知識や顧客や市場を理解していればリーダーシップは発揮できる」と中田氏は言う。

 

水平展開の際には、いくつかのパターンが考えられる。1つは新たにデジタルマーケティング室を開設し、全社的に推進するアプローチ。もう1つは各部門でデジタルマーケティングに取り組み、そこで得た成功事例を水平展開する方法だ。

 

「どちらかというと後者の方がうまくいくことが多いです。というのも、商材によってデジタルマーケティングの戦略が変わるので、1つの商材で成果を出したら、同じような特徴のある商材を扱う部門へ展開することが望ましいと思います」(中田氏)

 

 

3、4年後を見据えた投資と位置付けて取り組む

 

もう1つ、BtoBデジタルマーケティングを推進していく際に忘れてはならないのが、中長期経営計画など一定のスパンで捉えた経営戦略に落とし込むことである。

 

導入当初にはウェブサイト開設、広告出稿、SEO対策、メール配信などの整備・実装にコストがかかるため、その回収を早期に図りたいという企業は少なくない。しかし、「最低でも3年後から成果が出るというスパンで考えることが重要になる」と中田氏は指摘する。

 

「デジタルマーケティングは案件発掘と顧客接点強化の仕組みづくりと言えますが、短期間では十分な仕組みを構築できないので、3、4年後を見据えた『投資』であると位置付けて、腰を据えて取り組んでいくことが大切です。

 

また、短期で成果を出そうとすると、広告やメール配信などのフロー施策に目を奪われがちですが、長期で継続的かつ大きな成果を生み出すためには、コンテンツの数と質の追求、メール配信のリード数、ハウスリスト数の収集といったストック施策が重要。フロー施策はやめれば効果はなくなりますが、ストック施策はやめても効果はなくならず、指名検索、集客や認知度、自社の信頼につながり、後々の財産になります」(中田氏)

 

短期で刈り取るか、長期で見るか。すなわちフローかストックかの施策を決定する経営層の意識も重要になる。また、こうしたデジタルマーケティングの特徴を踏まえたKPIの設定もポイントになる。

 

例えば導入当初は、ウェブサイトの訪問数、個人情報の入力数、資料ダウンロード数などの目標数値を定め、3年後からは成約数や売上高を指標にするといったように、時期に応じたKPIを設ける方法が有効だ。

 

 

ABM、AI活用に注力。これからのマーケDX潮流とは

 

加速するBtoBデジタルマーケティングの強力なサポーターとして飛躍するリーディング・ソリューション。今後は、大口顧客獲得や高額商材販売などを見据えたアカウントベースドマーケティング(ABM)の展開に力を入れていくという。

 

「ABMは端的に言えば、『攻略したい〇社』など、先にターゲットを決め、デジタルマーケティングで攻略していく手法です。米国ではマーケティング費用全体の50%がABMに向けられていると言われ、日本でも徐々に普及していくと見ています。BtoBマーケティングにますます投資対効果が求められる時流を踏まえ、ABMの成功パターン・ノウハウを開発し、展開していきます」(中田氏)

 

さらに、ある程度BtoBマーケティングの型が構築できてきた企業に向けて、デジタルマーケティングの高度化と効率化を見据え、AIの活用も進めていくという。活用が進めば、1万人いれば1万通りのパターンという、究極の1to1マーケティングが実現する。コロナ禍などで一気に加速したBtoBデジタルマーケティング。広く普及し、投資対効果が問われるからこそ、腰を据えて取り組む必要がある。

 

 

(株)リーディング・ソリューション(タナベコンサルティンググループ)

  • 所在地 : 東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル4F
  • 設立 : 2004年
  • 代表 : 代表取締役 中田 義将
  • 従業員数 : 40名(2023年11月現在)