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「社会課題体感フィールドスタディ」参加者。自らの志について深く問い直す管理職・役職者などが多く見られるという
ESG経営やサステナビリティ経営が大きくクローズアップされ、企業経営やビジネスを取り巻く環境は日々大きく変化している。財務諸表に表れない企業価値を見いだし、サステナブルな世界を目指した新しい事業やイノベーションを起こすためには、従来のビジネスでは立ち行かない。社会課題と向き合い、それを解決する新たなビジネスを創出することが、結果的に企業を成長させることにつながる。
そんな背景から、多くの企業でプログラムが導入されているNPO法人がある。「社会課題が解決され続ける世界」をビジョンに掲げるクロスフィールズである。2011年に創業した同法人は、独自のネットワークを生かし、国内外で社会課題を解決するために奮闘する現地のNGOやスタートアップと日本の民間企業をつなげ、現地の課題解決と企業の意識変革に取り組んできた。
「企業のリーダー人材が国内外の社会課題に対して当事者意識を持ち、ビジネスを通じて課題解決に取り組むという事業構想から、クロスフィールズの活動はスタートしました。さまざまなプログラムに、これまで2600名を超えるビジネスパーソンが参加し、社会課題の現場を体感しています。
ここ10年を振り返ると、民間企業と社会課題の現場との距離は確実に縮まったと感じています」
同社の活動についてそう説明するのは、ディレクターである西川理菜氏だ。同法人は創業と同時に、ビジョンを実現するため「留職プログラム」(【図表1】)という事業を開始した。
このプログラムでは、社会課題の解決を目指す国内外のNGOやスタートアップに、次世代のリーダーとなる若手社員を送り込み、現地の人々とともに課題解決へ取り組む。最低でも3カ月以上は新興国などで現地の人々と協働するため、自らの価値観やリーダーシップの在り方などを問い直す絶好の機会になる。そんなユニークなプログラムが評価され、業種を問わず多くの企業で導入された。
【図表1】留職プログラム
※ 社会課題体感フィールドスタディは「現地訪問型」と「オンライン型」がある 出所 : クロスフィールズホームページよりタナベコンサルティング作成