データを共有しバリューチェーンの価値向上に挑戦
同社は、データを基に意思決定できるシステムを運用しつつ、改善も続けている。このようなデータドリブン経営の進化を支えるのが人材だ。柳瀬氏は自らデータ分析について学んだ経験を生かし、人材を育成している。
例えば、社員のITリテラシー向上を図るために「GooDay Data Academy」という企業内大学を設立。データベースを操作するための言語や、データ分析するためのプログラム言語、各種ソフトウエアの使い方などを学ぶ機会を作っている。
「当社が目指しているのは『日本で最もデータを使いこなせる経営』です。データや統計が社内の共通言語になって、アイデアや施策を打ち出せる企業文化を築き上げることを目指しています。
そのためにも人材育成は必須です。全社員が受講する基礎レベルの研修だけでなく、各部署より1名以上が受講する初級から上級までの3段階に分類した研修を行うことで、ITリテラシーの向上を図っています。この研修は、私とともにデータ分析を学んだ社員が講師となって社員に教えており、学び合う文化が生まれています」(柳瀬氏)
グッデイが次に目指すのは、メーカーや卸売など取引先へのデータドリブン経営の波及である。こうした取引先は、かつてのグッデイ社内と同じように経験と勘による商談や意思決定がされており、データも紙やExcelベースで非効率的な作業をしている会社が少なくない。
この状況を打破するために、2023年からスタートさせたのが、取引先とデータ共有を行う取り組みだ。すでに先進的なデータ活用を行う企業とデータを共有し、バリューチェーン全体での業務の効率化や売り上げアップに挑戦している。
「こちらから説明し、賛同いただけたメーカーや卸売などの取引先数社とデータ共有を行っています。互いが同じデータを見ながら商談や受発注、在庫情報の共有を行うことで、業務の効率化を図れます。
また、データ共有のハードルを高くしていた各社の商品分類や商品コードの違いは、共通のJANコードを介してひも付けることで一元化を実現。各商品の品番や分類が異なっていても同じ商品を認識できるようになり、過去の売れ行きを基にした今後の予測をするなど、スムーズな商談が可能になりました」(柳瀬氏)
現在、グッデイは200社以上の企業と取り引きしている。バリューチェーン全体でのデータドリブン経営を行うことができれば、市場の変化に迅速に対応でき、真の顧客のためになる商品・サービスをメーカー・卸売・小売が三位一体となって提供する新しい価値提供につなげていける。今後も同社の動向に注目が集まる。
※ 読み取ったさまざまなデータを集約・保管する情報管理システム
PROFILE
- (株)グッデイ
- 所在地 : 福岡県福岡市博多区中洲中島町2-3 福岡フジランドビル10F
- 設立 : 1950年
- 代表者 : 代表取締役社長 柳瀬 隆志
- 売上高 : 約360億円(2023年3月期)
- 従業員数 : 1500名(2023年3月現在)