自問自答するブランドメッセージを制定
コールセンターアウトソーシングの先駆者で、社会課題や顧客ニーズへの取り組み解決に伴走して成長を続けるベルシステム24。同社は、創業40周年を迎えた2022年、パーパス「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」を実現するブランド戦略を描き出すグループ横断プロジェクトをキックオフ。2023年春、ブランドスローガンと位置付けるコーポレートボイス「その声に、どうこたえるか。」を制定した。
「企業理念として最上位の概念であるパーパスを落とし込み、当社が提供する事業価値を、次代にも成長し続けるブランドメッセージとして言語化しました。全てのステークホルダーに届けるのがコーポレートボイスです」
そう語るのは、2023年3月に新設したブランド戦略室の室長としてコーポレートボイスの浸透をリードし、インナー&アウターのブランディング戦略の重責を担う山中洋平氏だ。プロジェクトリーダーとしてコーポレートボイス制定にも携わり、社内10部門の部長・マネジャーなど15名のプロジェクトメンバーと3カ月間で7回のワークショップを開催した。
コーポレートボイス制定に先がけて、プロジェクトは「バリュー」を見つめ直すことから始動した。
「存在意義や使命を示すパーパスは抽象的で、そのまま現場に落とし込んでも社員の行動を変えるのは難易度が高い。そのため、これまでもこれからも当社が大事にし続けること、顧客やステークホルダーへの提供価値につながるものを、バリューとして5つに定義することから着手しました」(山中氏)
コミュニケーションのプロフェッショナルとして培ってきた「対話の力」、進化するDXテクノロジーや新しいことを受け入れるマインドと、顧客を最適なアクションに導く業務プロセスの定型化(マニュアル化)など現場力の強みを融合する「独創性」、多様な背景を持つ社員一人一人が活躍できる環境を創出するための「多様性」など、パーパスを実現する未来に向けて、絶対に必要な自社「らしさ」と「価値」をバリューとした。半年間かけて丁寧に吟味を重ねることで、その後のコーポレートボイスやマニフェスト(コーポレートボイスを体現するブランドストーリー)の制定、コンセプト動画の制作もスムーズに進んでいる。
企業のブランドスローガンは「~する」という言い切り型が多いが、同社のコーポレートボイスはあえて問い掛けるような形を採用したことにも「らしさ」がにじみ出る。
「疑問形はインパクトが弱いと思われがちですが、当社にとっては強烈な自問自答です。社会環境が変わりゆく中でも、いつも顧客の最適解を追求し、妥協せずにリードし続ける。自問することで多様なワークシーンにおいて次々と『こたえ』が浮かび上がるイメージです。社員一人一人が新たな可能性に出会い、その人らしいキャリアを組み上げ、実現していける企業である自負の思いも込めています」(山中氏)
出所:ベルシステム24ホールディングス提供資料を基にタナベコンサルティング作成