「つるとんたん UDON NOODLE Brasserie 軽井沢」は、ボタニカル感あふれるリゾート型店舗として好評を博している
日本のスモールラグジュアリー市場を開拓
昨今、急速に市場が拡大しているスモールラグジュアリーリゾート市場。国内における先駆者といわれるのがカトープレジャーグループ(以降、KPG)だ。同社がスモールラグジュアリーリゾート市場に参入したのは2007年。登録有形文化財に指定されている旧三井家別邸を、レストランやバーとしてリノベーションした「箱根・翠松園」を開業すると同時に、宿泊施設やスパを擁するリゾート「ふふ 熱海」をオープンした。
さらに、2018年には富士山を一望できる河口湖のほとりに「ふふ 河口湖」、2020年に奈良公園の一角に「ふふ 奈良」と日光田母沢御用邸跡地に「ふふ 日光」をオープン。2021年に京都・南禅寺の麓に「ふふ 京都」、2022年に箱根連山を臨む「ふふ 箱根」を開業するなど、コロナ禍においても積極的な出店を続けている。
「コロナ禍は苦戦しましたが、皆さまに支えていただき、計画通りに開業することができました」
こう語るのはKPG代表取締役グループ代表の加藤友康氏だ。父親で創業者である加藤精一氏の逝去を機に、弱冠22歳で事業を受け継いだ加藤氏は、1989年に24歳でうどん専門店「麺匠の心つくし つるとんたん 宗右衛門町店」を開業。これを皮切りに、レストランやホテル、旅館、公共リゾート、スパ、劇場など多種多様なレジャー施設のトータルプロデュースを成功させてきた。承継時に3億円だった売上高は30年余りで300億円に迫るなど、総合的なレジャー事業開発のプロ集団へと成長を遂げている。いくつもの業態開発、ブランディングを成功させる秘訣はどこにあるのか。大きな転機として加藤氏が挙げるのが、つるとんたんを開業した24歳のときに経営理念を明文化したことである。
「右も左も分からないまま会社を継ぎましたが、父を知るたくさんの方々に支えていただきました。そうした中、尊敬する父が生前に大事にしていた思いや、私自身がどのようにありたいかを整理して文字にしたのが、総合的なレジャー事業開発の実現を基幹コンセプトとする『KPGコンセプト』(【図表】)と、会社全体の心の価値観をまとめた『KPGマインド』です。ビジョンや思いを言葉にしたことで人に伝わり、共感してくださった方々が仲間になって支えてくださったり、さまざまなチャンスをくださったりしたことで事業を広げることができました」(加藤氏)
【図表】KPGコンセプト