国内でデジタルマーケティングの成功基盤をつくってから、
海外に目を向けることが重要です
日本企業はデジタルコミュニケーション力の弱さが課題だが、グローバルなデジタルマーケティングにおいて世界に通用する強みもある。課題解決に真摯に向き合う姿勢や問い合わせ対応の丁寧さ、正確なスケジュール管理もその例だが、何よりもバリュープロポジション(顧客のニーズが高く、かつ競合他社が提供できていない独自の価値)で世界的な競争力を維持していることだ。
「日本の商品・サービス、技術力は世界で高評価を得ています。海外での影響力が下がるのは、デジタルマーケティングのプロセスが上手く機能していないからです。
世界中の企業がグローバルに目を向けたデジタルマーケティングを行っていますし、日本企業も、コロナ禍による市場環境や顧客ニーズの変化を、海外へのデジタルマーケティングを発展させるチャンスにできると信じています」(梅川氏)
グローバルコミュニケーションに関して、言語の壁を感じる日本企業は少なくない。だが、多言語コミュニケーションやグローバルなデジタルマーケティング分野では、梅川氏のような心強い専門家が存在する。最近では外資系マーケティングエージェンシーも相次いで国内市場に参入しているが、それは日本企業のグローバルマーケティングの可能性に大きな伸びしろがあることを物語っている。
「企業の担当者1人でデジタルマーケティングを行うには無理がありますし、良い意味でエージェンシーを利用していただければと考えています。ただ、本気で取り組むには人材も資金も必要ですし、部門を超えた連携は、海外デジタルマーケティングを成功させるための重要なポイントの1つです。
『アウトソースすれば大丈夫。全てやってくれるのでしょう?』という考えや姿勢では、必ず目標達成へのプロセスが破綻します。良いモデルケースには共通点があり、それは、推進役となる社員の方が存在するということ。社内の細やかな情報収集は、外部にいる私たちだけでは限界があるからです」(梅川氏)
どの部署がどのような情報を持っているかを把握し、各部門に顔が利き、スムーズに情報を引き出せる人。集まった意見を集約して、情報が設計できる人。そうした個々の存在が不可欠であり、さらに個の力をチームとして運用する体制も必要になる。最近は、自社ウェブサイトの立ち上げやリニューアルに合わせて、長く在籍するベテラン社員と、デジタルリテラシーが高く運用を任せられる若い世代を合わせたプロジェクトチームを組成する企業が増えているという。
グローバルマーケティングとデジタルコミュニケーションを、自社の持続的な成長につなげる秘訣について、梅川氏は次のように語る。
「経営者が覚悟を決めることです。商品・サービスを売る上で、『今ある仕組みに併せてデジタルマーケティングにも力を入れていく』と、トップ自らが重要性を理解して社内に周知することが重要です。デジタルマーケティングにどのような影響力があって、どうすれば目標を実現できるかを知らなければ、必要な予算投資も判断できません。
決して大げさではなく、デジタルなくして企業の未来はありません。繰り返しになりますが、まずはやってみることが重要です」(梅川氏)
PROFILE
- (株)インフォキュービック・ジャパン
- 所在地:東京都新宿区大久保1-1-7 高木ビル3F
- 設立:2007年
- 代表者:代表取締役社長 梅川 万穂
- 従業員数:46名(2022年10月現在)