ベネフィット・ワンでは、ジュニアボードで生まれた施策の実践とは別に、複数の組織横断プロジェクトを立ち上げてきた。代表的な施策に「社内ベンチャー制度」や「スマートオペレーションプロジェクト」がある。
社員から新規事業案を募る社内ベンチャー制度からは、同社の主力事業の1つであるインセンティブ事業が立ち上がっている。クライアント企業の従業員や顧客・代理店向けにポイントの付与・管理システムと、交換アイテムをワンストップで提供する、ロイヤルティーやモチベーションアップのためのポイントプログラムサービス「インセンティブ・ポイント」である。2022年4月現在、約400万人が利用するサービスへと拡大している。
スマートオペレーションプロジェクトは、愛媛県松山市にある同社オペレーションセンターの生産性向上を目指すプロジェクトである。これまで、会員の申し込み受付は同社のオペレーションセンターで行っていたが、サービス提供会社に直接申し込みができる仕組みを構築し、業務の効率化に成功した。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大前から「Neo Works」という働き方を導入。外部人材などの活用や、サテライトオフィスの導入などを通して、従業員の生産性向上も実現した。
「このような取り組みが成功しているのも、ジュニアボードをはじめとした組織横断的な取り組みによって、社員の感度の劣化を防いできたからだと自負しています。今後も、社員の感度を高める施策を取り入れるつもりです。
ただ、社内だけで施策を行っても自分の変化に気が付きにくいので、異業種交流会をさらに拡大していきたいと考えています。例えば、社外へ出向できる仕組みづくりなどです」(白石氏)
進取の気風を失わないように、ジュニアボードメンバーと自らコミュニケーションを行い、さまざまな施策を導入して経営者マインドを伝えてきた白石氏。これからジュニアボードなどの制度を通じて社員育成を目指す企業に対して、次のようなエールを送る。
「繰り返しになりますが、社員の主体性や危機感などは、組織が大きくなるに従って劣化していきます。それを防ぐのが経営者の仕事だと考えています。ジュニアボード制度などの機会を活用しながら、考え方や物事の捉え方を社員に伝えていきたいです。企業が成長するためには、トップダウンで新しいビジネスモデルを創出するよりも、社員の感度を磨くことが重要だと思います」(白石氏)
PROFILE
- (株)ベネフィット・ワン
- 所在地:東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー37F
- 設立:1996年
- 代表者:代表取締役社長 白石 徳生
- 売上高:383億6200万円(連結、2022年3月期)
- 従業員数:1551名(2022年4月現在)
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