J:COM-UとLMSの両輪によって、人財開発グループは受講管理がしやすくなり、データを分析・活用できるというメリットも大きくなった。具体的には、どの階層の社員が何を受講しているかだけでなく、学部長が登壇する塾形式の講座の受講者は、受講しない人に比べて業績評価が高いことも分かった。今後は受講率の高い社員・営業拠点と、拠点業績との連動性の有無など、さらなるデータ分析を進めていく。
データ化によって、これまで見えなかった課題も明らかになった。例えば、20歳代の若手社員の受講率が、リーダーやマネジャー、シニアマネジャーの階層と比べて少ないことだ。
「入社後3年間は拠点配属の営業活動で外出が多く、目の前の業務に一生懸命で余裕がないことが理由です。受講状況を知る上長から、『拠点やチームのみんなで一緒に会議室で視聴しよう』という声掛けが増えつつあります」(中野氏)
個人からチームでの学びへと広がる背景には、業務の10%を能力開発(学びの時間)に充てる業績目標を設定する同社独自の環境がある。さらに2021年には、新人事制度を導入。J:COM-Uのアップデートと連動し、自分の得意分野や伸ばしたい専門領域を明確に設定し、バンド(職群)の専門スキルを向上していく「キャリアバンド」制を始動した。
「学びが業務にどう生きてくるのか、ということです。そのためバンドマネジャーを新設し、2019年に始まったタレントマネジメントシステムに受講履歴をひも付けていきます。バンドごとに必要なスキルを整理し、J:COM-Uに散りばめながら、業績だけでなく適正な人員配置などにもつなげていきたいですね」(中野氏)
「あたらしいを、あたりまえに」。社名変更とともに掲げた新たなブランドスローガンは、世の中にあふれる新技術・サービスを、全ての人が使えるように届ける願いが込められている。
「そのためには、世の中の誰よりも、未来のことを知っていないといけませんよね。そういう未来志向の企業文化を醸成すること。そして、一人一人の自律的な成長や専門性を高める学びやアウトプットの機会を、しっかりと支援することがJ:COM-Uの役割です。
社内には多様な人材がそろっているので、主体的な登壇機会を増やして、社内認定講師も実現していきたいと思います。学んだことを発信することで、一番学ぶのは自分ですから」(中野氏)
今春の入社式で、代表取締役社長の岩木陽一氏は、未来を担う新入社員に、主体性を持つ「覚悟」と、その延長線上にある「プロフェッショナル」への成長を求めた。社員の思いを1つにする“土台”から、一人一人違うキャリアとタレントが多様に伸びゆく“ジャンプ台”へと進化するJ:COM-Uが、同社の未来を開いていく。
楽しく学べるよう、いかに魅せるか、発信するか。
PROFILE
- JCOM(株)
- 所在地:東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館
- 設立:1995年
- 代表者:代表取締役社長 岩木 陽一
- 売上高:7857億円(連結、2021年3月期)※国際会計基準(IFRS)
- 従業員数:1万6871名(連結、2022年2月現在)