
地方の田舎であることを生かし、時間や場所にとらわれない働き方で、やりがいを持って仕事ができる環境づくりの実現を目指す小田島組。「若者の人材流出が止まらない地元を、首都圏に負けないくらい未来に希望を感じる街にする」。その決意と使命感から「働きやすさ」への挑戦が始まった。
現場写真整理サービス「カエレル」は、小田島組が運営する工事写真の整理をサポートするサービス。
建設現場の残業削減や業務効率化を支援している
働き方改革は新サービスの創出にもつながった。を削減して社員やその家族のために有効に活用し、生産性の向上にもつながる「通勤革命制度」。通勤に時間がかかる地域にも採用可能エリアが広がるというメリットもある【図表】「BE A SMART COUNTRY」実現に向けた主な取り組み


出所 : 小田島組HPよりタナベコンサルティング作成
「従来の日本の仕事や働き方は、自分の時間の対価として賃金を得る従属的な姿でした。どれだけ高い値段で自分の時間を換金できるか、そんな人間の尊厳を無視した価値観から解放するには『働く意味』が大事です。そこから、努力してできることを自分で決め、変化・進化・退化(退行的進化)のアップデートを繰り返し、いつも時代にアジャストしていく。それが当社の挑戦の姿です。
私も社員もまだやるべきことがあって、できていないことだらけですが、それはむしろ『伸びしろ』だと伝えています。大きいほど、挑戦しがいもありますから」(小田島氏)
未来に希望を持てる地域や日本へ変わっていく指標を数値化する挑戦も始まろうとしている。その1つが、社員の子どもの出生率だ。2022年は4.79と全国の平均出生率(1.26)を大きく上回っている。
2023年度の経営計画発表会で小田島氏は、多様性(新しい働き方)を目指しつつ、規律(利益)もしっかり伸ばすことの大切さを伝え、前年度は収益減となった自らの経営責任を社員に陳謝。その上で、一人一人の採算性を高め利益体質に変えていく方針を示した。オブラートに包み隠すことなく、オープンに現実を見える化し、直視して受け入れることが、たゆみないアップデートの原動力になっている。
「働きやすいが利益が出ない、では駄目です。さらにその先へと挑戦できなくなりますから。働きやすさと利益、両方に軸足を置くことで、これからも社員と一緒に挑戦し続けたいと考えています」(小田島氏)
BE A SMART COUNTRYへの挑戦の物語には、プロローグがある。「人と同じことができない。しなきゃいけないという価値観がない」と自らを振り返る小田島氏は、少年期から多様性を否定する世の中に違和感を抱いてきた。
「『一人一人の考えを尊重したいし、私を含めみんなが衝突し合って良いんだよ』と社員に伝えています。もし否定が必要なときも、『コト(行動)は否定しても良いけどヒト(人間性)を否定しては絶対に駄目だよ』と。
SMART COUNTRYを目指す姿に共感して入社する社員が増えていますし、そうした社員が幹部に育つころには、ファーストペンギンの当社だけでなく、日本の建設業界全体の働き方が大きく変わっているはずです」(小田島氏)
PROFILE
- (株)小田島組
- 所在地 : 岩手県北上市藤沢20-35
- 創業 : 1970年
- 代表者 : 代表取締役 小田島 直樹
- 売上高 : 32億円(2023年3月期)
- 従業員数 : 221名(2023年10月現在)