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【企業事例】優れた経営戦略を実践する企業の成功ストーリーを紹介します。
モデル企業 2020.11.18

お菓子を進化させるメディアとして業界に貢献できる情報を発信:BAKE

原材料や工程にこだわったおいしさと洗練されたデザインで、製菓業界に新風を吹き込むBAKE(ベイク)。ファンとの対話を大切にする同社のオウンドメディア活用策を探った。

    THE BAKE MAGAZINE https://bake-jp.com/magazine/    
新たなビジネスモデルで製菓業界に新風を吹き込む
  焼きたてチーズタルト専門店「BAKE CHEESE TART」(ベイクチーズタルト)をはじめ、シュークリーム専門店「CROQUANTCHOU ZAKUZAKU」(クロッカンシューザクザク)、焼きたてカスタードアップルパイ専門店「RINGO」(リンゴ)、バターサンド専門店「PRESS BUTTER SAND」(プレスバターサンド)などを展開するBAKEは、2013年の創業以来、製菓業界に新風を送り込んできた。現在は「1ブランド1プロダクト」を基本方針に9ブランドを展開している。   BAKEのビジネスモデルは、一般的なパティスリーと一線を画す。1ブランドで提供する商品を1種類に絞り込むことにより、原材料を厳選し、おいしさを追求。さらに、作りたての香りなどを体験できる工房一体型の店舗設計や、商品のキービジュアルとパッケージデザイン、店舗デザインの美しさなどが、感度が高く目の肥えた消費者の心を捉えた。   各ブランドでキーカラーが決まっており、いずれも斬新で洗練されたデザインが目を引く。例えば、ガトーショコラ専門店「Chocolaphil」(ショコラフィル)は、食べ物にはあまり使われない「青」が基調。コロンビア産のカカオをふんだんに使った商品のため、「海を渡ってやってくるカカオ」をイメージしている。   店舗数は国内外を合わせて120店舗(国内72店舗、海外48店舗、2020年9月現在)。従業員数は2015年に「スタートアップの壁」といわれる100名を突破し、現在は約1400名と目覚ましい成長を遂げた。     BAKEの主力商品、北海道生まれの焼きたてチーズタルト「BAKE CHEESE TART 」(1個216円、税込み)  
ガラス張りでスタイリッシュな店舗デザインの「PRESS BUTTER SAND(プレスバターサンド)」東京駅店    
自社の成長に合わせてオウンドメディアの役割も変化
  商品ブランドを大切にするBAKEは、ファンとのコミュニケーションも重視。2015年にオウンドメディア「THE BAKE MAGAZINE」(ザ・ベイク・マガジン)を開設し、同社の事業や商品づくりに対する姿勢や思いを発信し続けている。   「当社はおいしさの3原則を掲げており、『良い材料を使う』『手間を惜しまない』『最良の状態で提供する』ことを大切にしています。そんな菓子メーカーとしての姿勢を、さまざまなオウンドメディアを通してお客さまに発信しており、その1つがTHE BAKE MAGAZINEです」   そう語るのは、企業広報室室長である真鍋順子氏だ。各ブランドサイトやECサイト(オンラインショップ)、コーポレートサイト、スマートフォンアプリ、SNSといったオンラインのほか、工房一体型の店舗デザイン、商品パッケージやリーフレット、ファンイベント、さらには店舗スタッフまでをオウンドメディアと捉えているという。おいしさの付加価値を「作る・見せる・届ける・伝える」手段の全てを、オンラインかリアルかにかかわらず「オウンドメディア」と定義しているのである。   短期間で急激に成長したBAKEは、自社の歩みを「立ち上げ期」「成長期」「共創期」の3つに分類している。各フェーズでTHE BAKE MAGAZINEが果たす役割も変化した。 スタート時の2015年は立ち上げ期で、企業認知度の向上や人材採用の広報が主な目的だった。そこで、発信力の強い編集長を外部から招き、自社の商品づくりに対する姿勢をPRした。例えば、同社が仕入れる牛乳を生産する牧場を訪問・取材して、ものづくりに対するこだわりをリポートするなど、自社商品の背景にある物語を伝えていった。   こうしたコンテンツと商品でファンの拡大を図っていったBAKEは、2017年に投資ファンドの経営参画体制へ変更し、組織として拡大する成長期を迎えた。人材獲得の必要性が増したり、従業員数の増加によって社内コミュニケーションの活性化が経営課題になったりしたことに伴い、THE BAKE MAGAZINEの果たす役割も変わった。   採用やインナーコミュニケーションを目的としたコンテンツが求められる中、社員がインハウスエディターとして運営し、社内にスポットを当てた記事を増やした。経営体制の変更の背景の紹介や各部門の業務紹介、転職してきた従業員の紹介など、インナーブランディングとしての要素を強めていったのである。   「さらに、複数のブランドを立ち上げ、事業を大きく拡大した2019年以降を共創期と位置付けています。商品がお客さまに届くまでには、社内だけでなく社外パートナーの協力が必要不可欠です。当社の事業がそんなフェーズにあることから、THE BAKE MAGAZINEも『オープンイノベーション』をコンセプトに展開しています」(真鍋氏)   その言葉通り、自社だけでなくスイーツや食関係、あるいは提携先の事業など幅広い話題を取り上げている。BAKEの店舗がテナントとして入っている商業施設や新商品のコラボ先、あるいは栄養食品を開発した起業家なども紹介。それぞれの事業への取り組みや商品開発に対する思いを伝えている。       作りたてのおいしさを常に提供できる工房一体型の店舗(左)。料理研究家の栗原心平氏を招いてファンイベントを開催。BAKEはこうしたイベントも「(リアルの)オウンドメディア」と位置付けている(右)    
長期的な視点で「お菓子の進化」に寄与できる情報を発信
  同業他社やコラボ先の取り組みまで発信するTHE BAKE MAGAZINE。その編集方針は、「お菓子を、進化させる。」というBAKEが掲げるミッションの具現化でもある。自社以外の考え方や取り組みを紹介することで、業界全体の活性化を図る狙いがある。   「当社の事業規模が拡大したことで、業界に与える影響も大きくなりました。そこで、商品づくりに対する思いはもちろん、新しい製菓業界の在り方として、例えば無店舗ビジネスといったフードイノベーションやテクノロジーの活用など、新しい切り口を取り上げるコンテンツを展開していきたいと考えています。また、消費者の方々の健康志向やSDGsへの関心の深まり、コロナ禍による生活スタイルと価値観の変化が起こっているので、そうした今のニーズにマッチした情報発信を行っています」(真鍋氏)   現在、THE BAKE MAGAZINEの運営は、広報部門のスタッフ2名が兼務して行う体制である。広報部門はコーポレートサイトやFacebookなどの公式アカウントの運営も行っており、THE BAKE MAGAZINEは今まで以上に企業ブランディングとしての側面が強くなった。今後もオープンイノベーションというコンセプトで多彩なコンテンツを発信していくという。   一方で、変化させてはならない点として、真鍋氏は3つのポイントを挙げる。「目的を明確にする」「短期での効果を期待しない」「無理をしない」だ。   「自社の成長に合わせて役割は変えましたが、一貫して変えなかったのが、その都度、THE BAKE MAGAZINEの目的をはっきりさせてきたことです。誰が、誰に対して、どのように、何を伝えるのかを明確に編集しています。その上で、短期的な売り上げ増などの効果を期待するのではなく、多くの方々に当社のファンになっていただけるように、商品づくりに対する姿勢や情熱を伝えてきました。そのため、特にPV(ウェブページの閲覧数)や滞在時間といった評価指標は設けていません。   無理をしないことも重要です。オウンドメディアを運営していると、更新頻度などが気になって発信しなければならないという意識が強くなり、本当に発信すべき内容なのかを吟味することがおろそかになりがちです」(真鍋氏)   「無理をしてしまう」のは、オウンドメディア運営で陥りがちな落とし穴だ。情報発信の頻度や量にこだわると、コンテンツの質が下がり、自社ブランドのイメージを損なうことにもなりかねない。社内の各部門とコミュニケーションを取りながら、発信すべきリソースを常に把握しておくことも、オウンドメディア運営の重要なポイントである。   自社と消費者・取引先を、あるいは経営者と従業員をつなぐ重要な機能を持つオウンドメディア。BAKEの取り組みは、目的を明確にし、伝えるべき情報を精査し、伝えたい相手に確実に届くように発信するという鉄則を再認識させてくれる。     BAKE 企業広報室 室長 真鍋 順子氏    

PROFILE

  • (株)BAKE
  • 所在地:東京都港区白金台3-19-1 興和白金台ビル
  • 創業:2013年
  • 代表者:代表取締役社長CEO 山田 純平
  • 従業員数:1372名(アルバイト含む、2020年9月現在)