2018年にミッションステートメントを刷新し、約1万4000本の生花が咲き誇るキービジュアルとともにブランディングを展開中
地方、そして日本全国の中小・ベンチャー企業の発展、成長を支援するソウルドアウト。同社が提供するデジタルマーケティングの具体例とその可能性を聞いた。
地方と中小・ベンチャー企業のマーケティングを支援
「宝の持ち腐れ」という慣用句がある。せっかく役に立つものや優れた才能を持っているのに、生かされていないことを指すたとえである。企業の中にも、高いポテンシャルを秘めているにもかかわらず、売り上げが伸びないケースは珍しくない。
特に中小企業では、競争力が高い商材を保有しているのに、消費者や取引先にその強みを伝えるすべがなく、業績が伸び悩んでいる事例は多い。また、魅力的な地域資源を有していながら、活用するアイデアがなく、地場産業の衰退や都市圏への人口流出に歯止めがかからない地方自治体も増えている。
そんな中小・ベンチャー企業や地方が抱える課題に対し、デジタルマーケティングを通じて支援しているのがソウルドアウトである。
2009年設立の同社は、インターネット広告事業を手掛ける「オプト」(現オプトホールディング)から社内起業した。2018年には自社の存在意義を定義するミッションステートメントを刷新し、「中小・ベンチャー企業が咲き誇る国へ。」を掲げ、デジタルマーケティング、HR(ヒューマンリソース:人的資源)、IT化という三つの領域で事業を展開している。
「メイン事業となるのがデジタルマーケティングです。売り上げが伸び悩んでいるお客さまに対して集客・接客・追客支援を行っています。また、子会社では、お客さまの企業成長に伴って人材の採用や育成を行うHR支援と、業務を効率化・自動化するためのITツールの開発および導入を展開するIT化支援を行っています」
ソウルドアウト上席執行役員CRO(最高売上責任者)の北川共史氏は、そう自社のサービス領域を説明する。メインとなるデジタルマーケティングの「集客」とは、グーグルやヤフーなどのメディアから、自社ホームページにターゲットとなる顧客を集める方法を提案すること。「接客」とはホームページを訪れた顧客に対して商品の魅力を伝え、購買意欲が湧くよう動線やコンテンツを作り込むこと。そして「追客」とは、一度ホームページを訪問した顧客に対し、SNSやメールなどを通じてリピートしてもらう活動を指す。
こうした支援活動を通じ、地方と、中小・ベンチャー企業の売り上げ拡大や事業拡大に貢献してきた。
全国に拠点を有してECサイト運営会社などを支援
デジタルマーケティングに携わる企業は、東京や大阪、名古屋など大都市圏に拠点を持つことが多い。ところが、ソウルドアウトはデジタルマーケティング会社としては珍しく、北海道から九州まで全国に21拠点を有する。これは同社の顧客に対する姿勢の表れでもある。
「ソウルドアウトという社名には『売り切れ』『志(ソウル)を持って仕事に取り組む』という意味の他に、『靴底を擦り減らす』という意味も込められています。つまり、お客さまのもとへ足しげく通いながら、一緒になって最適なデジタルマーケティングを構築していくのが当社の基本スタンス。確かに当社はデジタルという最先端のツールを活用しながらお客さまのマーケティングを支援しています。しかし、マーケティングの本質は今も昔も変わらず、『顧客のニーズを満たしてファンになってもらうこと』。この原点を忘れずに、お客さまと接する機会を増やしながら支援しています」(北川氏)
そんな活動が経営者の心を捉え、現在では全国に約3000社の顧客を有する会社へと成長。2019年には東証1部上場も果たした。
フェース・ツー・フェースでソウルドアウトのデジタルマーケティングサービスを受けるのは、ECビジネスを手掛ける中小・ベンチャー企業が中心。サプリメントや健康食品などに特化した企業から多品目の商品を扱う企業、保険などを販売するサービスECの運営会社とさまざまで、デジタルマーケティングの予算も月額100万円以下から1000万円以上の顧客まで幅広い。
顧客の成長過程に合わせたデジタルマーケティングを展開
ソウルドアウトでは、顧客の成長フェーズに合わせたデジタルマーケティング支援を実施している。具体的には、初期設計から3次成長まで分類し、マーケティングの立ち上げからブランディングまで支援する。
まず、初期設計ではKPI(重要業績評価指標)策定やターゲット設定を行い、それに沿ったサイト構築やランディングページ(LP)制作などを行う。LPとは検索結果や広告を経由して最初にアクセスするページで、「入り口ページ」や「集客ページ」のことを指す。つまりエンドユーザーを選定して、そこに対しさまざまな手法を使って自社商品やサービスの告知を行う。
1次成長では、検索結果で上位に表示されるリスティング広告やSEO(検索エンジン最適化)、ブログや比較サイトなどで情報を発信するアフィリエイトを展開。一度、自社サイトを訪問した顧客に再度、広告を表示するリターゲティングなども展開して購買意欲の向上や購買機会を増やす。
2次成長においては、コンテンツとコンテンツの間に表示されるインフィード広告やSNS広告、閲覧しているサイトの内容と連動した広告を打つことができるディスプレーネットワーク、動画広告などによってシェア拡大を図る。
そして3次成長では、ブランド構築などを図り、より多くのファン層の獲得を目指してテレビCMなども活用したマーケティングを展開するという流れになる。
「成長フェーズに合わせてお客さまと現状認識や課題を共有し、解決策を提案しながら成長を促すことが当社の使命だと考えています。いわばお客さまと一緒にゴールを目指す伴走者のようなものです」(北川氏)
成長を志す企業の課題とソウルドアウトの事業領域
出典:ソウルドアウトホームページ
“デジタルの便利さ”を体感している
ユーザーの目線に立たないと
今後のビジネスは成り立ちません
ソウルドアウト 上席執行役員 CRO 北川 共史氏
今後はチャットや音声検索などに対応が不可欠
さまざまな手法やツールを活用して顧客の売り上げ拡大、事業拡大に貢献してきたソウルドアウト。その経験から多くの事例を蓄積するとともに知見を深めてきた。そんな同社が実感するデジタルマーケティングの現在地はどこなのだろうか。
「すでにユーザーはデジタルに慣れ親しんでいます。例えば、商品を買う際、インターネットなら多くのサイトを閲覧し、価格や機能比較などをした上で購入しています。その象徴的な出来事が、米国の玩具量販店のトイザらスがアマゾンの後塵を拝したことです。つまり、中小企業も、“デジタルの便利さ”を体感しているユーザーの目線に立たないと、今後のビジネスは成り立ちません。ユーザー目線のサービスを展開する上でも、デジタルマーケティングは不可欠でしょう」(北川氏)
しかも、デジタルマーケティングは常に進化を遂げている。北川氏は今後、デジタルマーケティングで広がる、いくつかのコミュニケーション手段や検索方法を挙げている。その代表例がチャットボット(自動応答システム)や音声検索である。すでに企業と消費者のコミュニケーション手段として定着しているチャットボットは、AIを活用することで顧客とのやりとりをデータ化できる。そのデータは適切な自動対応はもちろん、顧客のニーズの把握などにも役立つなど、今後のコミュニケーションの主流となりそうな気配だ。
音声検索も利用頻度が急上昇している。グーグルでは近年、約3分の1が音声で検索されるなど、検索の在り方も変化している。つまり、ECサイトなどでも、音声検索を考慮したSEO対策が必要になる。現在は文字入力を前提にしたキーワードなどを組み込んで、自社サイトが上位に表示されるSEO対策を施しているが、今後は話し言葉をキーワードに組み込むなどの対応が急がれるという。
5G時代が到来今後は動画広告に注目
さらに、北川氏が今後の潮流となるマーケティングとして挙げているのが動画広告である。これまでインターネットの商品広告の主流といえば、画像とテキストによる表現だった。作り手の思いや環境に優しいといった、商品が持つ物語性を伝えることでヒット商品が生まれていたが、その表現は画像とテキストが主体だった。
しかし、Webは雑誌や新聞など紙媒体に比べて、テキストを読むのに適したメディアではない。「Webは視覚的な表現に適しているため、これまでは画像中心の構成でサイト構築をしてきました。5G(第5世代移動通信システム)の時代になれば、情報量の大容量化と通信速度の高速化が実現され、動画を見る環境はより進化します。そこで今後は、例えば、人気インスタグラマーがお勧めの商品を動画で紹介し、その動画をユーザーが電車通勤時にためらいもなく視聴するという、動画プロモーション時代へ大きくかじを切る、と期待しています」(北川氏)
インターネットの普及で膨大なECサイトが登場したのは2000年代。以降、20年近くの間、常に進化を遂げてきたデジタルマーケティングだが、AIの普及や5Gの登場によって、これまでにない大きな転換期を迎えるのは間違いなさそうだ。
PROFILE
- ソウルドアウト㈱
- 所在地:東京都千代田区神田駿河台3-4 龍名館本店ビル
- 創業:2009年
- 代表者:代表取締役会長CGO(最高事業成長責任者)荻原 猛
- 売上高:168億円(連結、2018年12月期)
- 従業員数:297名(2019年4月現在)