全国に先駆けて産官学連携の「探究学習プログラム」を開発
―― 産官学連携によって社会課題を解決しようという動きが各地で活発化しています。JTBは事業ドメインとして「交流創造事業」を掲げ、旅行者の満足はもちろん、エリアの交流促進や企業のコミュニケーションの活性化に貢献されてきました。
特に法人事業では、産官学に向けたさまざまなビジネスを展開されており、近年は産官学による共創にも注力されていますね。
小野 当社では長年、法人事業において企業や自治体、学校を対象に事業を展開しており、ネットワークを持っています。それぞれの営業担当者が日々、お客さまの悩みやニーズといった課題感のヒアリングを重ねており、それらを組み合わせて事業化する経験やノウハウが社内に蓄積されています。
そうした背景のもと、JTBでは以前から産官学の共創を方針として打ち出しており、私が在籍する横浜支店のみならず、47都道府県にある支店において3者の強みを生かした共創が行われています。
―― 最近の産官学連携において重視している点はありますか。
小野 これまで産官学連携は、CSRやボランティアといった意味合いで実施されていた側面もありますが、私たちが考える産官学連携の在るべき姿は事業化です。それに向けて3者の強みを見い出し、共創によって新たな事業の開発や拡大につなげていくことが重要だと考えています。横浜支店では、産官学連携の1つとして「ヨコハマ探究学習プログラム」を展開していますが、全国の支店でも数多くの探究学習プログラムが小学生向けや中学生向けに開発されています。
―― ヨコハマ探究学習プログラムは、全国各地で展開されている探究学習プログラムの先駆け的存在ですね。このプログラムを開発したきっかけをお聞かせください。
小野 直接的なきっかけはコロナ禍です。2020年に新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るったことで、旅行業界全体が大打撃を受けました。私自身、一般企業向けの営業を担当していましたが、旅行需要が一切なくなってしまいました。さらに、思った以上に外出自粛などが長期化する中、何かしなければいけないという気持ちで、各営業担当者が自主的に動き出したのが始まりです。
齋藤 横浜支店では一般企業を対象とする部署と学校を担当する部署、行政を担当する部署がワンフロアで仕事をしており、距離が非常に近くて話す機会も多くありました。
私自身、2020年に学校営業から一般企業を担当するチームに異動になったタイミングだったこともあり、学校を担当していた時代に感じていた課題感やニーズが生かせるのではないかと思いました。小野さんとは席が近く、すぐに相談できる環境でした。長らく一般企業の営業をしていた小野さんは、企業のニーズを詳しく把握していたこともあり、具体的なプログラムの企画につながりました。
JTBでは産官学をつなぐことで、それぞれの課題解決に寄り添い、新たな価値創造に貢献してきた(写真はJTBコーポレートサイト)