「国内の施工現場でICT建機の利用率はまだ3%しかなく、97%は従来型施工を続けています。腕の良いオペレーターが高齢化する中、経験の少ない若手作業員をサポートする意味でも、需要はさらに伸びていくでしょう」(大野氏)
高まる期待に手応えを感じる大野氏は、本来はライバル関係にある他の建機メーカーに協創を持ち掛け、「自社建機にも取り入れたい」との前向きな反応を得ている。
「後追い開発に投資するより、良いものがあるなら利用した方がいいという判断です。Landlogで一緒に『現場の世界は1つ』をぜひ実現していきましょう、と」(大野氏)
コロナ禍の逆風でも、パートナーとのコミュニケーションを活性化し勢いを増すLandlog。地域に根差す全国の建築・土木企業ともアライアンスを組み、ユーザーコミュニティーを形成して、さらなる「現場起点」のサービス拡充へ歩みを進めている。
「全国40万社超の建築・土木企業が、ICT施工で地域の先進的な存在に変わる未来を実現していきたい」と笑顔で語る和田氏。ランドログらしい価値の協働と協創への扉は、いつも開かれている。
Column
啐啄同時で普遍的なことに「汗をかく」
Landlogは建築・土木業界と異分野の他業界、内と外が連携して風を起こす仕組みだ。その姿は、鳥のひなが生まれる「啐啄同時」にも似ている。
ランドログは、2020年に国土交通省の「建設現場の生産性向上プロジェクト」に参画した。ゼネコン主導のコンソーシアムに加わる意味を、和田氏は「施工現場のデータ活用だけなら、ゼネコン単独でできます。現場ユーザーとつながるパートナーが、自由度高く自ら汗をかくLandlogの座組みが、本当の現場支援になると評価された証しです」と語る。
「汗をかく」ことが重要だと和田氏は強調する。建築・土木業界の心に刺さるこのキーワードは、プラットフォームに蓄積した貴重なデータを生かすも殺すも、普遍的な「ともにつながり、交わる」関係性にかかっているからだ。
「ヘルメット、安全帯、安全靴。施工現場やIoTデバイスが進化しても、これらは未来にも変わらずに使われるものであり必要とされるもの。建築・土木工事も、絶対になくなることはありません。人も現場も、普遍的なものにテクノロジーでどうアプローチし、どれだけ寄与できるか。私たちもしっかり良い汗をかいて貢献していきたいですね」(和田氏)
国内で最も従事者数が多い建築・土木業は、地域と深く結び付き、支え続ける意味でも普遍的な存在だ。その輝きを増すことが、地域のより良い未来を描き出していく、確かな道と言えるだろう。
PROFILE
- (株)ランドログ
- 所在地:東京都港区芝大門2-11-8 住友不動産芝大門二丁目ビル12F
- 設立:2017年
- 代表者:代表取締役社長 井川 甲作
- 従業員数:13名(2020年11月現在)