「緊急事態宣言の際は保育園や幼稚園から自宅保育を求められたため、小さな子どもがいる社員は、なかなか仕事に集中できないようでした。しかし、緊急事態宣言の解除後は再び子どもを預けられるようになったため、大きな問題はなくなりました。いま心配なのは一人暮らしの社員です。リモートワークになったことで他人と話す機会が減り、精神的にバランスを崩さないかと危惧しています。その防止策として、当社ではオンライン上のレクリエーションを積極的に開催しています」(石綿氏)
オンライン飲み会のほか、定期的なワークショップの開催やオンライン新入社員研修などでコミュニケーションの機会を増やしたという。
さまざまな工夫をしながら新しい働き方に挑戦するデジタルホールディングスは、現在オフィスとして借りている6フロアのうち2フロアを2020年内に解約すると決めた。以前からフリーアドレス制だったところに出社率を40%程度まで抑えたため、オフィス面積を3分の2にしても業務に支障はないという判断からだ。
「削減したオフィス賃料は、社員への還元や新事業への投資に回したいと考えています。現在、週2日以下の出勤になったことで削減できた交通費を『ワークデザイン手当』として社員に月額4000円支給し、光熱費やオンライン環境の整備に充ててもらっています。今後も3カ月に1度ほど定点観測をしながら、状況に合わせて最善の方法を選んでいきます。
時間や場所にとらわれない働き方が広がるウィズコロナの時代は、得意分野を持った人や専門性の高い人が今よりも活躍する世の中になるでしょう。企業の枠を超えて価値を発揮できる人材に広く活躍してもらうため、当グループは、社員が自発的に学び、自律的に働ける環境へ投資していきます」(石綿氏)
リモートワークの実践で見えてきたメリットと課題を見極めながら、丁寧に対策を打っていくデジタルホールディングス。ウィズコロナを前提とした新しい「働き方改革」が始まろうとしている。
PROFILE
- (株)デジタルホールディングス
- 所在地:東京都千代田区四番町6 東急番町ビル
- 設立:1994年
- 代表者:代表取締役社長グループCEO 野内 敦
- 売上高:899億円(連結、2019年12月期)
- 従業員数:1508名(連結、2019年12月現在)