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モデル企業
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【企業事例】優れた経営戦略を実践する企業の成功ストーリーを紹介します。
モデル企業 2020.08.19

下請けから工場を持ったデザイナー集団へ 本多プラス

重厚感ある肉厚のPET容器「ORCシリーズ」。ガラス瓶をイメージした形状で、オーガニック化粧品やヘアケア用品の容器として使われている

 

 

 

安心・安全なパッケージをデザインの力で作る

 

「目指したのは、『(金型から製作できる)工場を持ったデザイナー集団』。デザイナーがいる工場ではありません。以前は、デザインを別会社にすべきかどうか非常に悩みましたが、今は一体で取り組むことに意味があると思っています」(本多氏)

 

一代一事業。クリエイティブ事業の成功によって、売上高が6倍以上に拡大するなど順調に成長を遂げる今、本多氏が今後の重点分野として挙げたのは「衛生用品」と「環境問題」である。

 

「今回、新型コロナ禍によって社会生活に大きな影響が出ています。当社は従来から除菌液をはじめとする多様な衛生用品の容器を製造していましたが、あらためてその重要性を痛感するとともに、デザインを生かして少しでも社会に貢献できればと思っています」(本多氏)

 

除菌液であれば、直接触れなくても噴霧できる容器の開発など、デザインを得意とする同社だからこそ実現できる、安心・安全なプラスチック容器を望むニーズは多い。

 

一方、環境問題への対応はすでに始まっている。具体的には、容器を薄くするなどデザイン力を生かした資源削減や、消費者が繰り返し使いたくなるデザインの開発、さらに製品の製造過程で出る廃材をアクセサリーやインテリア雑貨に再生するプライベートブランド「ame(あめ)」の立ち上げなどである。特に、ameはプラスチックの新たな魅力を世界に発信するシンボリックなブランドとして、海外市場も視野に入れて事業展開を加速する考えだ。

 

プラスチックを、デザインで面白く――。新たなフィールドに立った本多プラスの挑戦はこれからも続く。

 

 

本多プラス 代表取締役社長 本多 孝充氏
(プライベートブランド「ame」青山店にて)

 

 

Column

プラスチックの新しい魅力を伝える

 

近年、プラスチック製品や包装材を削減する動きが活発化している。そうした逆風の中、本多氏はプラスチック製品を扱うプライベートブランド「ame」を2014年に立ち上げた。

 

「プラスチック容器の間違った捨て方が自然環境に悪影響を与えていることは事実であり、改善が必要です。しかし、プラスチックは本来、環境に優しい循環型素材です」(本多氏)。

 

製造過程で使用するエネルギーが少なく、軽いので運搬の際に排出される温室効果ガスが少ない。デザインや用途によっては繰り返し使用できる。焼却の際はエネルギーとしてリサイクルされる。

 

そうしたプラスチックの特長を、雨が降って川となり、海や雲・雪などになって世界を循環する様子になぞらえ、ブランド名はameと名付けた。商品は、工場から出るプラスチック端材を使ったアクセサリーやインテリア雑貨など。形を変えながら暮らしを潤す雨のような、美しいデザインが印象的だ。

 


プライベートブランド「ame」の製品。2014年に旗艦店を東京・青山にオープン

 

 

PROFILE

  • 本多プラス(株)
  • 所在地:愛知県新城市川路字夜燈23-2(本社)、
  •     東京都港区南青山5-11-14 H&M南青山EAST 305(東京クリエイティブオフィス)
  • 設立:1946年
  • 代表者:代表取締役社長 本多 孝充
  • 売上高:54億円(2020年6月期)
  • 従業員数:180名(2020年6月現在)