MOVOとはmove(移動する)とoptimization(最適化)の造語。ミッションを体現するネーミングを旗印に、物流全体が最適化する持続可能な社会を目指して2018年に掲げたビジョン「MOVO2023」。その実現へ、最適な選択肢となるソリューションの量産や外部ソリューションと機能共有するAPI※連携の拡大を佐々木氏は展望する。
緊急事態宣言下にも、パレットなどの滞留・紛失を可視化する流通資材モニタリングサービス「MOVO Seek(シーク)」の提供を開始。2020年夏には輸配送情報を一元管理できる配送案件管理サービス「MOVO Vista(ビスタ)」もリリース予定だ。API連携も、AI自動配車システム「LYNA CLOUD(ライナクラウド)」を手掛けるライナロジクス社や日野自動車との提携が始動した。
さらに「ポストMOVO2023」も見据える。2020年3月には日本経済団体連合会が掲げる未来社会コンセプト「Society5.0」に重なる未来像を見いだして入会。2025年に「個社」から「社会」の最適化を仕掛けるステージへ、2030年には高速道路など幹線輸送の自動運転サービスの情報基盤になる姿も描き出している。
「MOVOで登りたい山へたどり着く道筋が見え、今は山頂に近づきつつあると感じています。さまざまな課題を拾って解決できるソリューションをつくり、Facebookのように誰もが当たり前のようにログインし使えるものにしていきたいです」(佐々木氏)
※Application Programming Interface:システムに外部から接続したり、他のアプリと機能を連携したりするための仕組み
順番待ちで混雑したとトラックバースが整流化され
積載率の向上、トラブルの解消につながります
Column
有事の適応力を平時から
佐々木氏は、有事には環境変化への適応力が必要だと語る。「ダーウィンの進化論みたいですが、適者生存です。これまでを否定するまでいかなくても、すぐに見直して新しい方法を試し、その方法に磨きをかけることができるかどうかが重要です」。
Hacobuには平時から、アジャイル型の技術開発や人材育成に息づく「Value(価値感)」がある。「Give it a try(まず、やってみる)」だ。顧客への提案、サポートでもMOVO Berthの導入企業の一つ、ユニリーバ・ジャパンは「Try Firstのマインドセットを受けたことが、ホワイト物流の実現につながった」と振り返る。最初から全ての問題を解決できなくても、段階的に進めて効果を上げ、最終的に持続可能なゴールへたどり着くために最初の一歩を踏み出してみるということだ。
「これからの社会は、DXに限らずリアルなものづくりでも、まずやってみて伸びる芽があったら育て改善していくアプローチになっていきます。その方がリスクも小さく、マーケットに受け入れられる姿をつくり上げるスピードも速いですから」(佐々木氏)
「有事の適応力」を積極的に「平時から生かす」時代に変わる。コロナ禍が、そのトリガーになろうとしている。
PROFILE
- (株)Hacobu
- 所在地:東京都港区三田3-12-17 プレクスビルディング3F
- 設立:2015年
- 代表者:代表取締役社長CEO 佐々木 太郎
- 従業員数:60名(2020年6月現在)