地方、そして日本全国の中小・ベンチャー企業の発展、成長を支援するソウルドアウト。同社が提供するデジタルマーケティングの具体例とその可能性を聞いた。
「宝の持ち腐れ」という慣用句がある。せっかく役に立つものや優れた才能を持っているのに、生かされていないことを指すたとえである。企業の中にも、高いポテンシャルを秘めているにもかかわらず、売り上げが伸びないケースは珍しくない。
特に中小企業では、競争力が高い商材を保有しているのに、消費者や取引先にその強みを伝えるすべがなく、業績が伸び悩んでいる事例は多い。また、魅力的な地域資源を有していながら、活用するアイデアがなく、地場産業の衰退や都市圏への人口流出に歯止めがかからない地方自治体も増えている。
そんな中小・ベンチャー企業や地方が抱える課題に対し、デジタルマーケティングを通じて支援しているのがソウルドアウトである。
2009年設立の同社は、インターネット広告事業を手掛ける「オプト」(現オプトホールディング)から社内起業した。2018年には自社の存在意義を定義するミッションステートメントを刷新し、「中小・ベンチャー企業が咲き誇る国へ。」を掲げ、デジタルマーケティング、HR(ヒューマンリソース:人的資源)、IT化という三つの領域で事業を展開している。
「メイン事業となるのがデジタルマーケティングです。売り上げが伸び悩んでいるお客さまに対して集客・接客・追客支援を行っています。また、子会社では、お客さまの企業成長に伴って人材の採用や育成を行うHR支援と、業務を効率化・自動化するためのITツールの開発および導入を展開するIT化支援を行っています」
ソウルドアウト上席執行役員CRO(最高売上責任者)の北川共史氏は、そう自社のサービス領域を説明する。メインとなるデジタルマーケティングの「集客」とは、グーグルやヤフーなどのメディアから、自社ホームページにターゲットとなる顧客を集める方法を提案すること。「接客」とはホームページを訪れた顧客に対して商品の魅力を伝え、購買意欲が湧くよう動線やコンテンツを作り込むこと。そして「追客」とは、一度ホームページを訪問した顧客に対し、SNSやメールなどを通じてリピートしてもらう活動を指す。
こうした支援活動を通じ、地方と、中小・ベンチャー企業の売り上げ拡大や事業拡大に貢献してきた。
デジタルマーケティングに携わる企業は、東京や大阪、名古屋など大都市圏に拠点を持つことが多い。ところが、ソウルドアウトはデジタルマーケティング会社としては珍しく、北海道から九州まで全国に21拠点を有する。これは同社の顧客に対する姿勢の表れでもある。
「ソウルドアウトという社名には『売り切れ』『志(ソウル)を持って仕事に取り組む』という意味の他に、『靴底を擦り減らす』という意味も込められています。つまり、お客さまのもとへ足しげく通いながら、一緒になって最適なデジタルマーケティングを構築していくのが当社の基本スタンス。確かに当社はデジタルという最先端のツールを活用しながらお客さまのマーケティングを支援しています。しかし、マーケティングの本質は今も昔も変わらず、『顧客のニーズを満たしてファンになってもらうこと』。この原点を忘れずに、お客さまと接する機会を増やしながら支援しています」(北川氏)
そんな活動が経営者の心を捉え、現在では全国に約3000社の顧客を有する会社へと成長。2019年には東証1部上場も果たした。
フェース・ツー・フェースでソウルドアウトのデジタルマーケティングサービスを受けるのは、ECビジネスを手掛ける中小・ベンチャー企業が中心。サプリメントや健康食品などに特化した企業から多品目の商品を扱う企業、保険などを販売するサービスECの運営会社とさまざまで、デジタルマーケティングの予算も月額100万円以下から1000万円以上の顧客まで幅広い。