その人なりの視点や表現方法で
商材の魅力を伝えるから
ファンへダイレクトに伝わるのです
UUUMが成長を遂げる背景に、プラットフォームの拡大と、それに伴う視聴者の広がりがある。そのためタイアップ動画のジャンルも数年前とはかなり様相が異なる。
かつてユーチューブの視聴者は、子どもや若い男性中心だった。従って、タイアップ動画はゲーム、玩具、アプリなど一部のジャンルに限られていた。ところが、いまや視聴者は大人や女性、高齢者にも広がり、コスメティック、日用品、食品、健康関連商品など、幅広いジャンルの商材のプロモーションで活用されている。最近では一般企業のみならず、官公庁や財団法人からの依頼もあるという。
例えば、2019年6月に主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が大阪で開催されたが、この時に外務省から同社にタイアップ動画の依頼がきた。テーマは「気候変動問題」。若者にも環境問題に興味を持ってもらうため、国がユーチューブの活用と人気クリエイターの起用に踏み切ったのだ。UUUM所属の人気クリエイターMasuo(マスオ)が大阪サミットの会場で実際にスピーチし、その模様を動画(「外務省から仕事キター!」)にして、ユーチューブにアップしている。
また、無料インターネットテレビ局「Abema TV」に『10億円会議supported by 日本財団』という番組がある。社会を変える事業を始めたいとの思いを持つ人がプレゼンテーションを行い、審査員が全員賛同した案件に活動資金を提供する番組だ。その連動企画としてツイッターでアイデアを募集するキャンペーンが行われ、若者に影響力を持つUUUM所属のクリエイターたちが起用されている。
もう一つのユニークな取り組みを紹介しよう。動画と親和性の高い玩具が、世界中で一大ブームを起こしているという。
「それが『L.O.L(エルオーエル)サプライズ!』と呼ばれる開封を楽しむ玩具です。袋の中から人形などが出てくる玩具なのですが、20組の人気クリエイターたちが遊びながら開封する動画を企画したところ、大きな反響を得ることができました。ワクワクしながら開封する楽しさは、まさに動画との親和性も高く、タイアップ広告としても面白いものに仕上がっています」(竹川氏)
いまやタイアップ動画の活用は、従来では考えられなかったスポンサーや分野、目的にまで広がっている。そんな進化が著しいタイアップ動画の中堅・中小企業での活用方法について、竹川氏は次のようなアドバイスを送る。
「まずは動画コンテンツをご覧になって、楽しさを実感していただくこと。若い社員でもいいですし、甥っ子や姪っ子さんでもいいので人気クリエイターたちのコンテンツの感想を聞くことですね。その上でタイアップ動画を取り入れたいという方はお声掛けをしていただければ、さまざまな相談に対応できるはずです」(竹川氏)
Column
日本最大級の動画クリエイターの祭典「U-FES.」
UUUMが2015年11月に東京・豊洲(江東区)で初開催し、いまや日本最大級の動画クリエイターの祭典として一大ムーブメントを起こしているのが「U-FES.」だ。これは日本を代表するトップ動画クリエイターたちが一堂に会し、さまざまな企画が繰り広げられる大型イベントである。
2016年は全国6都市で開催され、合計約1万5000人を動員。2018年には約2万8000人を動員した。
同社は2019年6月から2020年春にかけ、「U-FES.TOUR2019」を全国10都市(札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄)で順次開催中だ。過去に例を見ない規模での全国多都市開催で、各方面に大きな反響を呼んでいる。
PROFILE
- UUUM㈱
- 所在地:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー37F
- 創業:2013年
- 代表者:代表取締役社長CEO 鎌田 和樹
- 売上高:197億2600万円(連結、2019年5月期)
- 従業員数:385名(2019年5月末現在)