【図表4】に示す3社、良品計画(東京都豊島区)、学研ホールディングス(東京都品川区)、ファミリア(兵庫県神戸市)はライフスタイルカンパニーの代表例である。いずれの企業も、企業名を聞くだけでどのような企業かが瞬時に思い浮かぶ。まさにミッション、ブランド、マネジメントのデザインが洗練され尽くされているのだ。
【図表4】デザイン経営を実践するライフスタイルカンパニーの代表例
市場が成熟したライフスタイル産業だからこそ、何かの領域で圧倒的なナンバーワンとして突き抜けなければならない。
最後にライフスタイルビジネスにおけるデザイン経営実践の要諦を3点、提言する。
1点目は、「フルモデルチェンジ」である。コロナ禍を経て、社会課題や顧客課題は大きく変化している。課題を的確につかみ、自社の価値を適合させることが求められており、そのためには価値の再定義および絞り込みが肝要である。「丸ごと変える」という経営の意思決定が大切だ。
2点目は、「リアル×デジタルの融合」だ。デジタル投資は大企業とそれ以外の企業において年々格差が広がっている。厳しい環境下であるからこそ、攻めに転じるための投資が競争力強化につながる。全ての経営資源においてリアルとデジタルの融合を進めていくことが重要である。
3点目は「スピード化」。企業の目的は顧客創造である。成熟した産業であっても、永久的に顧客を創造していかない限り成長はない。成長し続けるために、まずは全従業員のデザインリテラシーやデジタルリテラシーを高め、自社全体を垂直的にリ・デザインしていきたい。
この先数年はウィズコロナの経営環境が予測される中、ライフスタイルカンパニーを追求するには、変わり続ける社会課題を的確に捉え、顧客に真に寄り添う経営が求められる。
自社の顧客価値を見つめ直し”新たなライフスタイル価値”として再定義し、未来へ挑戦するために、本研究会では秀逸なビジネスモデルを有する企業より、イノベーションの要諦を研究していきます。