デザイン経営の実践
1.ミッションデザイン
ミッションとは、企業が社会的に果たすべき役割と使命であり、「世の中から求められること」と「自社の持ち味」の接点である。世の中から求められることが変われば、当然ながらミッションも変えなければならず、ミッションは不易流行と言える。自社の創業の原点に立ち返り、持続的成長を実現するための再定義を行うことがポイントだ。
また、ミッションを再定義した後は、そのミッションに基づいて事業を再定義し、さらにはその事業を推進するためにアライアンスを主とするネットワークを構築する必要がある。ミッションデザインとそれに基づく事業戦略が、ライフスタイルに関する社会課題や顧客課題を解決するのだ。
2.ブランドデザイン
ブランディングとは「コーポレート」(企業)、「ビジネスモデル」(事業や製品・サービス)、「人材」(従業員)の3つを高めるべきブランド価値とし、その価値を顧客へ提供し続ける日常的な活動である。
ウィズコロナの時代においては、「コーポレート=応援したくなる会社」「ビジネスモデル=成長し続ける事業」「人材=前向きな社員」という価値の高め方が重要である。その着眼を【図表3】に示す。
【図表3】ブランドデザインの着眼
3.マネジメントデザイン
デザイン経営実践の要はCDO(Chief Design Officer:最高デザイン責任者)の選定にある。CDOは経営者とともにデザイン経営のかじ取りをしていくリーダーシップを発揮しなければならない。求められる要件は、単にデザインセンスがあるかどうかではなく、社内外を巻き込みながら自社のブランド価値を最大化できる編成能力(キュレーションスキル)である。CDOの主な役割は、①各デザインのキュレーション責任機能、②社内外発信のハブ機能、③デザインミーティングの開催責任機能だ。