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コンサルティングケース
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TCGのクライアントが持続的成長に向け実践している取り組みをご紹介します。
コンサルティングケース 2022.03.18

新潟クボタ:ISO9001を活用した、経営システムのリデザイン

 

 

事業部間の垣根を超えた連帯感が生まれた

 

—— ISO9001の9001の全社統合は、どのように推進されたのでしょうか?

 

吉田:2020年1月から営業本部と管理本部のISO9001取得に向けたプロジェクトをスタートし、2021年の5月に認証登録ができました。そして、その後、農業施設事業部、車両・特販事業部など全社版ISO9001認証取得に向けた拡大・統合を行って、規格を1本化するとともに全社への浸透強化も同時に図っています。

 

プロジェクトオーナーは私と副社長の鈴木、全体リーダーは専務の吉田が担当。そして各事業本部長を中心メンバーにして、各営業所のISO責任者、ISO担当者などを選抜し、全社統合の構築を進めています。その中には当社の次世代を担う若手社員も含まれています。全社から人材を選抜したのは、全社浸透を図るとともに、現幹部を補佐する人材や、各部門の次世代の幹部候補など、人材発掘や育成の狙いもあったからです。

 

—— 全社統合版では各事業部の垣根を越えた標準業務システムの構築が重要になると思いますが、具体的にどのように議論されているのでしょうか?

 

吉田:全社統合に向けて事業部の垣根を超えたレベルでの定期的な会議を開催し、先行して行われた営業本部と管理本部のマニュアルをベースに他事業部へと統合する議論を進めています。また、職務分掌、ファイル管理基準など共通項目の統合や運用ルールの統一などを進めています。この議論を通して、他部門への理解が深まるとともに、自部門の業務の進め方について他部門から客観的な意見を聞くことで、多くの「気づき」が生まれたと感じています。

 

 

「目で見る管理」を実現したVMボード導入や5Sの徹底

 

—— 業務の見える化を図るために、新しい仕組みも導入されているようですね。

 

吉田:「見える管理」を実践するために、VM(ビジュアル・マネジメント)ボードを導入しました。これは毎月の売上など目標値が一目瞭然で把握でき、その達成度や課題点などを分かりやすく表示しています。さらに所属する営業所などの目標も明記。全員が見える所に配置することで、自分たちが向かうべきベクトルの共有を図れるツールとして機能しています。今後はいつでもどこでも確認できるようにスマートフォンから見られる仕組みを整えたいと考えています。

 

—— その他にもさまざまな取り組みをすることで、大きな効果も上がっているようですね。

 

吉田:はい。例えば、今回新たに全社的に把握できる社員のスキルマップを作成しました。当社では事業部によって求められるスキルが異なります。社員のスキルや資格取得に関しては事業部内での情報共有に留まっていましたが、今回のISO9001には教育・訓練の実施という要求事項もあり、全社的な教育・訓練ができるような体制も構築しました。全社員のスキルをはじめ、取得資格を把握できる資格一覧を作成し、これを見ることで事業部と人事部が連携しながら、計画的に社員のスキルアップを支援できる体制を構築することができました。この取り組みを続けることで、有機的な人材育成や人事戦略に役立てていければと思います。

 

また、5Sの徹底も行っています。整理・整頓・清掃・清潔・しつけを徹底することで、これまで気がつかなかった業務の不備を見つけることができました。例えば、サービス事業部では、整理・整頓をすることで工具の重複の発見、営業本部では書類やファイリング方法の不統一などの課題を見つけることができました。これらを改善したり標準化を推進することで、今回のISO9001取得の目標の1つである業務のミスやムダを軽減することにも役立っています。

 

 

ISOの要求事項と連動させたVM(ビジュアル・マネジメント)ボード

 

 

—— 最後に、ISO9001の全社統合の浸透・定着に向けた今後の活動をお教えください。

 

吉田:現在はISO9001の全社統合に向けて標準業務システムの構築と、浸透に向けた活動を同時並行で行っています。そこで実際に新たな施策を実行しながら、課題点はより良い方法に改善していきたいと考えています。また、クボタグループ全体のIT中期計画を進める上で、当社は国内農機販売会社の先進モデルとなっています。ISO9001で構築した新たなルールに基づいて、どのくらいの効果があるのかも検証を進めます。

 

例えば、お客さまからのクレームがどのぐらい減少したのか、あるいはどんな内容に変化しているのかなど、統計を取ることで検証したいと考えています。このようなエビデンスに基づいた施策を行うことで、従来の職人的な勘に頼った属人化した手法から脱却を図る。それが次世代につなげていく当社の経営システムのリデザインの在り方です。

 

—— 本日はありがとうございました。

 

 

 

PROFILE

    • 会社名:株式会社新潟クボタ
    • URL:https://niigatakubota.co.jp/
    • 所在地:新潟市中央区鳥屋野331番地
    • 設立:1964年
    • 従業員数:402名(2021年12月現在)

※ 掲載している内容は2021年12月当時のものです。