社員が自ら考え、創り上げる芝園開発流のブランディング
—— 人事評価制度に続いて、ブランディングプロジェクト(PJ)がキックオフし、2021年に社内外に発信しました。
宮本:新しい理念と制度で、社内の方向性がかたちとしくみになって、‟見える化”しました。次は、社外に対してどう見せるか、見られたいか、が大事になります。約1年半かけてブランドのコンセプトと3つのプロミスを定め、体現するスピリッツもクレドにまとめました。
人事評価制度は経営陣が主導しましたが、ブランディングPJについては経営陣は議論に参加せず、社員メンバーを選出し、全員参加型で進めました。分科会活動も公式な開催だけで50回を数えました。
—— ブランドコンセプト「ステキな明日をつくり続ける」は、社員の声をカタチにしたものです。
宮本:そうですね。例を挙げると、当社が入り放置自転車対策に取り組んだことで、都内23区で放置駐輪ワースト5に入っていた錦糸町駅前がワースト5を完全に脱却するまでに変わっていきました。放置自転車対策に長年取り組んできた当社にとって、とてもうれしい成果です。駅前に勝手に自転車を止めていた人も、駐輪場に置くように「あたりまえが変わった」ということです。
「あたりまえ」はある日突然、大きなインパクトによって変わるのではなく、日々の小さなことから少しずつ変わります。そのような、お客様、地域、社会、そして私たちにとっても「いいね」と思えることをカタチにすることで、いつのまにか「変わったね」「良くなったね」とみんなが思える「新しいあたりまえ」をつくってきました。
私たちの活動は決して派手なものではありません。けれど、地道にコツコツ、想像の先を創造し、これまで非日常だったものを次の日常にしていきたいと思っており、その想いが「新しいあたりまえをつくる」というブランドプロミスに込められています。
ただ、「いいね」と思えることを見つけ新しいあたりまえをつくるには、「もっと良くしたいな」「もっとこうだったらいいな」という想いを胸に挑戦を重ね、カタチにしていくことが必要です。そんな人が集まっている当社なので、「もっと良くしたいをカタチにする」「つなげる力でステキを広める」ことで、「いいね」の輪を広げていき、ブランドコンセプトである「ステキな明日をつくり続ける」につなげていきます。
—— ブランドネームは「LIXTA」に決まりました。ロゴのツートンカラーは、ブルーが「誠実」さ、コーラルカラーは「融合・調和」を表現しています。
宮本:“LIKE” is Next Standard。「いいね」を次のあたりまえに、という想いを「LIXTA」の名に込めています。駐車場や駐輪場の管理現場に看板を立て、ホームページも一新しました。統一感があり、共感が生まれるブランドになるよう意識して発信を続けていきます。
ブランドコンセプトとプロミスを、14項目のスピリッツとして落とし込んだ「クレドブック」も作成しました。社員はもちろん、管理の現場に立つLクルー(パート・アルバイトなどの呼称)の方々にも全員配布し、ブランドストーリーが浸透して「現場でかたちになる」環境づくりも進めています。
ブランディングの具体的成果はこれからですが、すでに「LIXTAはこうあるべき」「こういう行動はクレドにつながる」という話し合いが社員の中に生まれており、当社の目指す方向性を少しずつ共有できてきていると感じています。
全員参加型でブランディングを実施。分科会活動の回数は公式なものだけでも50回を超えたという。その結果、2021年に新ブランド「LIXTA」が誕生
—— タナベ経営に依頼した理由や感想などがあればお聞かせください。
宮本:後継者って、守りに入りがちなところもあるんですが、自分のカラーを出したいところもあるんです。そんな中、芝園開発の現在の価値、社会全体から見た価値、私自身の考えが芝園開発にとって最適かどうかなど、コンサルタントとして客観的・俯瞰的に見ていただきました。そういう意味で、自分に足りないところを、的確に指摘してくださったという印象です。
違うものは違う、と耳に痛いこともはっきり言ってくれるスタンスも、ありがたかったですね。社長である私の想いを大事にしながら、全社の事業や社風を踏まえた上でのアドバイスをいただけるので、本当に信頼できるパートナーだと思っています。
中期経営計画を策定。人もサービスも質を高め、いつも「前へ」
—— 新たに策定された中期経営計画についてお聞かせください。
宮本:中計内容のうち、経営戦略では、人材基盤の強化やオペレーショナル・エクセレンス、DX推進など5つのテーマを掲げています。また、事業戦略はファシリティマネジメントと公共サービスサポートを2本柱に、発展を遂げながら地域への貢献度を高めていくところです。
さらにいま、次代の幹部人材の育成と業務標準化を、タナベ経営と一緒に進めています。目指すものが明確になったので、みんなを巻き込みながら、目指すべき姿へ向かえる人材を増やせるように。また、これまで社内で統一できていなかった業務の価値観やレベルを統一し、MVV・LIXTAのブランドを具現化していけるよう進めています。標準化した高レベルのサービスで、ステークホルダーの方々とより良いコミュニケーションが取れるようにしていきます。
—— 今後の展望をお聞かせください。
宮本:MVVで想いを共有し、共感度も高まり、それを実現する「かたちとしくみ」をつくり上げることができました。また、求める人材の姿も明確にでき、前向きで主体的な行動が生まれ、リーダーも育ちつつあります。
これからの3年間は、既存事業を深掘りして足場を固めながら、新事業にもチャレンジして「進化と深化」を進めていきます。そのうえで、将来は他の中核都市圏や地方都市にも横展開して、事業ノウハウの広域化を目指していきたいですね。「ステキな明日をつくり続ける」を合言葉に、しっかりと未来像を描き、「新しいあたり前」に変えていきます。
—— タナベ経営も伴走を続けてまいります。本日はありがとうございました。
PROFILE
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- 会社名:芝園開発株式会社
- URL:https://www.sibazono.co.jp/
- 所在地:本店:東京都足立区千住3丁目66番16
- 設立:1986年
- 従業員数:正社員38名、パート・アルバイト542名
※ 掲載している内容は2021年12月当時のものです。