挑む--
新しい時代、「Future Vision 2030」へ
世界からリスペクトされるサステナブル戦略へ挑む
サステナブル戦略は、慈善事業とも、短期利益追求モデルとも一線を画する、社会性と経済性を高い次元で両立させる持続可能経営モデルです。タナベ経営は、サステナブル戦略を「社会の持続性と企業の持続性が共存した未来経営モデルの実現」と定義しました。方程式で表すなら「企業の社会的価値×企業の経済的価値=企業価値」です。
サステナブル戦略のスタート地点は、「私たちは未来の世界に何をもたらすべきなのか」を考えること。それを「社会や顧客の願いを叶える、実現したい未来」に置き換えて、ビジョンとして発信するところから始まります。加えて、それらを実現するのは「戦略投資」、すなわち“そろばん”が欠かせません。指数化すると、「サステナブル指数(100)=売上高経常利益率(10%)×連続増益期間(10年)」となります。目標とすべき経営指標は、「粗利益率40%、経常利益率10%、経常利益成長率10%、連続増益10年、無借金経営」。トリプルテン(利益率10%、成長率10%、連続10年)を目指す経営が求められます。
ただ、ここまでに指摘した通り、利益率の低さは日本企業の大きな課題です。サステナブル戦略を実現するには、「持続可能なビジネスモデル」「持続可能な組織モデル」「持続可能な収益モデル」という三つのサステナブルへの取り組みが欠かせません。事業の数を増やし、最適なポートフォリオを設計することが持続的成長につながります。まずは数多くの社会課題を発見し、それを解決する事業と適合するビジネスモデルをつくることです。
では、具体的にどのようにサステナブル戦略を推進していくか。ポイントとなるのは、五つの「新しい戦略技術」と「新しい経営技術」です(【図表2】)。2030年までの道標となる「Future Vision 2030」を策定し、全10テーマの「新しい戦略技術」「新しい経営技術」を組み込むことをお勧めします。目標を掲げ、道筋を明確にすること。そこから全ての行動が始まります。
【図表2】長期ビジョン「Future Vision 2030」 世界の人々(顧客)の願いを叶かなえる、実現したい未来をビジョンとして掲げる
新しい時代、新しい目標を創り新たに挑む!
「今日は昨日の続きであっても、明日は今日の続きではない」。未来は過去の延長線上にはないのです。令和の新しい時代、昭和の呪縛から抜け出せなかった平成時代と同じ思考に陥ってはいけません。企業を取り巻く環境は今、非連続の中で想像をはるかに超える領域に踏み込もうとしています。ゲームチェンジによって一瞬にして風景が一変する時代であり、私たちを待ち受ける未来は、さまざまな環境変化を受けた、これまでとはまったく異なるものと捉えるべきでしょう。
東京オリンピック・パラリンピックにも期待が高まりますが、ラグビーやゴルフ、サッカー、テニスなど昨今のスポーツは実に面白い。理由の一つに「世界と戦っている」「世界のナンバーワンを狙っている」ことが挙げられます。人口が減少していく日本で、世界と戦わないスポーツは衰退していくでしょう。
企業も同じです。日本一を狙うのか、アジア一を狙うのか、世界一を狙うのかで、ゲームプランも変わってきます。ポスト2020の日本企業は例外なく「世界で戦うための六つのゲームチェンジ」に挑む必要があるのです。
未来は予測するためではなく、創るためにあります。東京オリンピック・パラリンピックへのメルクマール経済が終焉を迎える中、大事なことは新たなメルクマールを見いだすこと。そのキーワードが、サステナブル戦略です。
2030年を期限とした「Future Vision 2030」を創り、世界からリスペクトされる会社「サステナブルカンパニー」を目指しましょう。それを実行するのは「経営者」であり「リーダー」でなければなりません。そうした決意を込めて、令和最初の年頭指針は次の言葉で締めくくりたいと思います。
新しい時代、自ら新しい目標を創り、新たに挑む!
過去に執着することなく、未来を恐れることなく、新しい時代の新しいビジョンに向けて取り組んでいきましょう。