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コラム
TCG社長メッセージ
タナベコンサルティンググループ、タナベ経営の社長・若松が、現在の経営環境を踏まえ、企業の経営戦略に関する提言や今後の展望を発信します。
コラム 2017.12.26

成長する未来を、いま切り拓こう:若松 孝彦

人を繋ぐイノベーションが生産性とスピードを高める

 

最後に、生産性カイカクを実現するポイントを説明しましょう。

 

1つ目は、ビジネスモデル。選ばれるビジネスモデルへと突き抜けることが重要です。具体的には、①常識を超える・絞り込む、②サービス化・専門化に磨きをかける、③自社の強みや不足を繋ぐオープンイノベーションを最大限に発揮することの3つです。

 

2つ目が、戦略投資。コンセプトは、成長加速に向けた投資です。①成長機会への投資、②創造開発への投資、③働きがいへの投資が不可欠です。そして3つ目は、人材育成。自立的に学び・活躍するチームをつくるには、①経営者人材を早く・多く育てる、②人を活かし・育てる思想でチームをつくる、③学び方を改革する、という3つの視点が欠かせません。

 

タナベ経営でも、社内大学「コンサルタントアカデミー」を設立し、人材の早期プロフェッショナル化に取り組んでいます。OJTや集合研修などに加えて、スマートフォンやタブレットを利用すれば、いつでも、どこでも、誰でも学べる。こうした環境づくりを進めることによって、働き方改革や働きがい、生産性カイカクへとつながっていきます。

 

つまり、学び方改革を通じて社員一人一人が活躍し、それぞれが主役となる「物語」を創る。それが社員の働きがいにつながるのです。会社の物語は、創業者や社長だけのものではありません。現場や社員、組織の中にこそあると私は考えています。

 

いずれにしても、生産性カイカクのスピードを高めるためには社内外を繋ぐ、オープンイノベーションの技術を身に付ける必要があります。

 

「ポスト2020」を見据えた「ビジョン2025」のすすめ

 

東証1部上場企業の2018年3月期の通期連結決算は、経常利益が過去最高を更新する見通し(時事通信社調べ)です。上場企業のIR資料を見ると、2020年までに極めて高い成長ステージを設定し、短期決戦、前倒しで計画を達成しているところが散見されます。中堅・中小企業においても、中期経営計画の策定・見直しを進めるとともに、その推進レベルを上げることが成長につながります。

 

そのためにもスピード感が重要なのです。繰り返しますが、社内外の知恵を結集する「オープンイノベーション」が必要です。さらに、2020年の先を見ること。新中期経営計画の出口は2025年あたりに設定すべきです。経営は、悲観的に準備して楽観的に行動することが肝要。また、企業価値を含めたコーポレートアイデンティティーを見直すことをおすすめします。企業デザインを考える上で、今の会社ロゴやコーポレート・メッセージは過去・現在・未来のビジネスを物語っているか、社員や顧客が魅力を感じるものか、世界に通用する社名だろうかといった視点から、2025年までを見据えたブランディングをする必要があります。

 

人材不足の時代には、男性、女性、若手、ベテランの区分に意味はありません。激しい人材獲得競争、人材活躍競争に企業は勝ち抜かねばなりません。

 

会社という存在が「全ての人が幸せになり、全ての人が活躍できる場所になる」よう、生産性カイカクへ取り組んでいきましょう。そして「5つのポスト」経済を迎える今こそ、成長する未来を切り拓いていきましょう。

PROFILE
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若松 孝彦
Takahiko Wakamatsu
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。
関西学院大学大学院(経営学修士)修了。1989年タナベ経営入社、2009年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。『100年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか著書多数。