その他 2022.12.13

Vol.20 経営者が押さえるべき3つの数値

粗利益は“ブランドロイヤルティー”、人件費は“未来投資”

 

粗利益(売上総利益)は、売上高から原価を差し引いて導きます。しかし、結果数値は千差万別。その違いは顧客から見たブランド価値の差であり、ブランドロイヤルティー(顧客からの忠誠心)の差です。自社が提供する製品・サービスの価値で真の顧客と「約束できる価値」で、ブランドロイヤルティーが決まります。

 

ブランドロイヤルティーが、価格を超えた付加価値を生んでいきます。独自性やオリジナリティーあふれるブランドを生み出し、価値を高めることをしなければ、真の意味で粗利益率を高めることはできないでしょう。

 

優秀な経営者は、頭の中の70%は組織や人材のことで満ちています。70%のさらに70%で優秀な人材、すなわち「人財」をどのように生かすかを考えています。ダメな経営者はその逆で、70%が出来の悪い人材の愚痴で満たされており、「わが社には“人財”がいない」が口癖になります。経営者なら人件費の本質価値を捉え、「人財」の未来に再投資しなければなりません。

 

人的生産性の高さは、凡人に非凡な仕事をさせた結果生まれます。

「非凡化比率」とは、社員の潜在能力を信じて任せ、仕組みをつくり、顕在能力の120%以上を発揮できる非凡な人財に変身させた割合を意味します。

 

非凡な人財を育てるためには、①正しい能力把握、②生産性目標の120%の権限委譲、③チームで高い能力を発揮できる適材適所、④目標を達成するための人財投資、⑤生産性分配システムの導入、という5つのステップが必要です。人材が5年連続で能力の120%を発揮すれば、生産性は約2.5倍に増えることになります。「人件費は未来投資」と考え、組織の非凡化比率を高める努力をしましょう。

 

 

営業利益は“事業構造の設計図”

 

営業利益は「事業構造の設計図である」と定義します。事業は「開発型」「下請け型」「受注型」「見込み型」の4つに分類でき、この事業スタイルの選択と組み合わせが、営業利益を決定します。営業利益の悪化は、事業構造やモデル(設計図)の見直しを必ず迫ることになります。

 

当期純利益は、自己資本の蓄積につながり、投資と納税の源泉になります。会社と社会の両者への貢献となる、資本蓄積、設備投資、株主への還元、社員への分配――、これらを将来像から逆算して配分するべき原資が当期純利益です。

 

これらの配分は、実は未来投資の意味を持ちます。利益をいくら手元に置いて、どのように使うか、投資の意思決定が将来の姿を決めます。このように考えると、当期純利益は「会社存続のコスト」であり、「未来投資のための費用」と位置付けることができます。