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タナベ語録

タナベコンサルティンググループの経営コンサルティングの基盤となっている考え方を、各テーマに沿って紹介します。
メソッド2022.09.05

Vol.18 知っておきたいアカウンティングスキルと自己啓発とは

知っておきたいアカウンティングスキルと自己啓発

 

経営指標を押さえ、効率経営へ手を打つ

 

今回は、プロ役員なら知っておきたいアカウンティングスキルと自己啓発について解説します。まず、アカウンティングスキル(企業会計・経理・ファイナンスに関する知識)について見ていきます。

 

株式会社が決算期に作成する決算書(財務諸表)には、「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」「事業報告書」などがあり、定時株主総会で承認を受けることが必要です。こうした決算書から経営の実態をつかみ、効率経営への手を打つことは、役員の重要な役割です。

 

また、経営において最も重視すべき経営指標は総資産経常利益率(=総資産回転率×売上高経常利益率)です。収益性を表す総合指標である総資産経常利益率と、安定性を表す総合指標である自己資本比率から、企業財務の総合力である「企業体力」が求められます。

 

企業体力 = 総資産経常利益率 × 自己資本比率
〈目標値〉300 = 10% × 30%

 

企業体力マトリクス

目標値の300ポイントを下回る場合は、収益性か安定性のいずれかに弱点があり、その原因を貸借対照表、損益計算書から見つけることで、経営課題を明らかにすることができます。

 

収益性の観点で着目すべきポイントは、どれだけの売上高があれば損益トントンまでもっていけるか、目標とする利益を達成するにはどれだけの売上高が必要かです。

 

この値を求めるのに必要な概念が「固定費」「限界利益率」です。固定費とは売り上げに関係なく発生する経費であり、売り上げゼロの時の最大赤字です。限界利益率はその企業の提供する製品・サービスの儲けの割合、商品力を表します。

 

企業が商品(製品・サービス)を生産・販売して利益を生み出す上で、最も重要な要因は商品の「価格」「数量」「経費」「回転率」の4つです。

企業が商品(製品・サービス)を生産・販売して利益を生み出す上で、最も重要な要因は商品の「価格」「数量」「経費」「回転率」の4つ

 

「つぶれない企業体質」にキャッシュフロー経営は必須

 

タナベコンサルティングでは、事業経営の要諦を1T(テクノロジー=固有技術)4M(マネー=資金、マーケット=市場、マネジメント=管理、マン=人材)の5要素にまとめて説明しています。

 

「キャッシュフロー経営」とは、「4Mの中の資金を管理し、自己金融能力を強化する」こと。つまり、企業が自由に使用できる余剰資金をいかにして日々の経営活動の中から捻出するかが、「キャッシュフロー経営」の最大のポイントです。

 

先の見えない経済環境下では、キャッシュフロー経営の本質を「自己金融を行うための経営管理システム」と捉え、自社に合った方法を積極的に導入することが必須の経営テーマと言えます。

 

そもそも、キャッシュフローとは「現金および現金同等物の出入り」。つまり、収入から支出を差し引いた資金収支のことです。キャッシュフロー経営は、この現金の出入りを企業や部門別に評価し、現在の強み・弱みを明確にすることです。

 

損益計算における「利益」とは、「収益(掛売りも含む)」から「費用(未払い分も含む)」を差し引いたものです。これに対し、キャッシュフロー計算における「資金収支」とは、「収入(実際に現金が入金された分のみ)」から「支出(実際に現金が支払われた分のみ)」を差し引いたものです。

 

ポイントは、損益計算の「収益および費用」と、キャッシュフロー計算の「収入および支出」の発生するタイミングの違いを理解することです。どんなに利益を上げていても、現金が入らなければ企業存続を脅かされることになりかねません。

 

タナベコンサルティングが提唱するキャッシュフロー経営とは、「絶対につぶれない企業体質づくりの手法」「企業の自由になる余剰資金の捻出ノウハウ」であり、厳しい経済環境に打ち勝つことのできる健全企業を創造するための経営ノウハウです。

 

キャッシュフロー経営を推進するポイントは次の通りです。
1. 売上債権(売掛金、受取手形)の圧縮
2. 受注の先行管理体制の構築
3. 在庫の圧縮
4. 遊休資産の処分
5. 買入債務(買掛金、支払手形)の支払いサイトの見直し
6. 人件費の削減
7. 一般経費の削減
8. 借り入れ金利の引き下げ交渉
9. キャッシュフローを重視した経営計画の策定
10. 投資採算性の検証
11. 失敗しないM&A

また、本業での資金創出力となる営業キャッシュフローの増大化が最重要となります。

 

 

一流のセルフマネジメント

次に、プロ役員が行うべきセルフマネジメント(自己啓発)について解説していきます。
プロ役員に求められる素養は次の通りです。



① 会社に対する忠誠心を持つ
信頼関係のないところに良い仕事は生まれません。いくら能力が高くても忠誠心のない人は、周囲から“危うい人”と評価されます。

② 積極性と決断力を養う
何事も積極的に攻めていかなければ成功はありません。たとえ失敗しても、直ちに撤退する決断力があればよいのです。失敗に気付きつつ、結論を先送りしていては企業にとって致命傷になりかねません。最も困るのは、“失敗はないが、何もしない役員”です。

③ 正しい態度
自分自身に邪心がある、不正を知りながら見ないふりをする役員は失格です。企業倫理に反すると社会から抹消されます。

④ 自信と自制心を持つ
自信を持って仕事に望み、自信過剰にならないよう心掛けます。

⑤ コミュニケーション能力(達意力)を身に付ける
役員の仕事のほとんどは「人との折衝」と「人を動かす」ことにあります。自分の意思を的確に相手へ伝えるコミュニケーション能力が求められます。

⑥ 客観性を持つ
物事を客観的に判断することが大切。思い込みで誤った方向にのめり込んでいくのは禁物です。

⑦ 正しい判断力を養う
企業の方向性に大きな影響を与える役員にとって、判断ミスは最も危険。迷うときには他人の意見を聞き、素直に受け入れます。

⑧ 感受性、社交性を身に付ける
ちょっとしたヒントでも仕事に結び付ける感受性と、広い人脈をつくるための社交性が必要です。

 

自己啓発の進め方

 

「心を変えれば態度が変わる。態度が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。運命が変われば人生が変わる」といわれる通り、自己啓発の第一歩は心、考え方を変えることにあります。

 

心、考え方を変えるものは、プロとしての誇り高き「テーマ設定」であり、飽くなき好奇心とハングリー精神です。哲学者としての死生観を確立し、自らを奮い立たせるテーマを決め、5W2H で計画を立て、ビジュアル化することです。常に見える形にして「有言実行」のコミットメントを行い、やらざるを得ない仕組みにすることも有効です。

 

古い考え方・行動の習慣を新しいものへ変えることにより、「新しい自分」をつくることができます。自己啓発とは習慣を変えることなのです。

心を変えれば人生が変わる
※本文・図はタナベコンサルティング主催「プロ役員セミナー」のテキストを抜粋して制作しています。

 

 

 

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