チームビルディングは次の条件に従って行われるべきです。
1.できる人、やりたい人を優先して集める
2.何をやるのか以上に、「誰をリーダーにするか」を中心に資源配分する
3.多様性を重視し、異なる経験や立場の人を集める
4.階層や部門のバラつきを意図(意識)した3 名以上でチームを編成する
5.顧客価値に対する提供価値(ブランド)の原則を決めると同時に、チームがやらないこと(トレードオフ)も決めておく
MBA(経営学修士)の取得を目指すビジネススクールの価値は、入社1年目の社会人や社長経験者が一緒に学び、研究する多様性にあります。戦略やマネジメントを学ぶタイミングは、年齢や経験ではなく、その人のセンスや思いで決まります。この多様性の創造をタナベ経営は「組織を斜めに切るチームビルディング」と呼んでいます。
以上を踏まえ、自社の組織をもう一度眺め、チーム編成の概念を見直してみてはいかがでしょうか。
ここからは、プロ役員としての人づくりについて解説していきます。
中堅・中小企業における人材採用環境について、ますます厳しくなることが予想される中、若手社員を抜てきしつつ、全社員の「活躍の場」を創出する必要があります。
そのためには、従来型の機能別やエリア別組織ではなく、ネットワーク的・プロジェクト的に動ける柔軟な組織体制が求められます。組織に「配置する」のではなく、一人一人が活躍できる場をどうプロデュースするかが重要です。
顧客価値向上のための継続的なチーム活動は、顧客の価値観や嗜好に合わせてプロジェクトメンバーを編成し、プロジェクトそのものを柔軟に改廃することが必要になります。リーダーも固定制ではなく、変化に応じて組み替える必要です。それは同時に、数多くの社員をリーダーとして抜てきできる機会が増えることを意味します。一人一人の職務や特性を明確にしておけば、必要とされる専門性とマッチングしやすくなります。
また、特定の問題の調査や計画の推進など、継続性はないものの重要な施策を行う場合、期間限定で「ワーキングチーム(委員会)」を設けるケースも多くあります。これは、リーダー人材や若手人材を育てる上で最適な取り組みの一つです。
チーム活動の中で、チームリーダーはリーダーとしての経験を積み、参加メンバーも意見や考え方を発言できる機会が得られ、経営への参画意識も高まります。会社側も、チームメンバーの特性や新たな強みなどを発見する良い機会となります。